第二章

□23.止まぬ雨
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雨は気配を消し


血を洗い流す


罪を洗い


真実を浮かび上がらせる










「どうしてっ…!? 何故貴方は私を!?」




水無月は血の流れる左腕を押さえながら真っ直ぐ自分を見下ろす彼女に叫ぶ




直ぐ後ろは木で逃げ場がない




「それは貴方が良く知ってる筈…。
情報を流し、里を売り…それがこの結果…。」




「…何を言っているのですか!?
私はそんなこと…私は里の為に…。」




「…………。」




彼女は水無月の目を見た

嘘を吐いている目じゃない




今まで死罪になった者と対峙した時、自白して戦闘になったり、諦めたりした者がいた


しかし目の前の水無月は違う


自分の潔白を信じて欲しい、そんな訴えの瞳をしている





「…分からない……。」




彼女はこの任務を言い渡された時から違和感があった



戦闘になればその場で死罪になっても良いと言われたが、大抵の場合はその罪を犯した忍を連れ帰り、日を跨いで別の忍達が罪を裁いていた


最初から『殺せ。』と言う命令は最近になって急に出てきた





「私は貴方を狩るように命令された…。」




カチャ、と剣を天に向ける




「…そんなっ…!」




「…………。」




カタカタッ、と小刻みに剣が震える





(斬らなきゃいけない…里の為に…罪を…。)




裕巳は剣を降り下ろす





「私は何も犯してなんかいないっ!」




水無月は叫ぶとバッ、と上着を開くと上着の内側に敷き詰められた起爆札が着火した




「……!」




「信じて貰えないのでしたら、私は貴方を道連れにーーーー。」





ドカァァァァン‼ と派手な爆発音が小さな村に響いた








「……痛ッ…!」




土煙の中から彼女は地面に赤い斑点を落としながら出てきた




顔は煤にまみれ、押さえている腹からは血が滲み出ている





「うっ……はぁはぁ…。」




木に寄りかかり、息を整える彼女




(どういうこと…? あの人は本当に罪人なの…? 融雨幻様に…聞…かーーー。)




意識が遠くなり、ドシャッと倒れる




降り続く雨がその血の海を広げていった




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