第二章

□24.過去の憎しみ
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夜になった


カブトは自室に籠り、ベッドで身体を横にしていたらいつの間にか深い眠りについていた


そのカブトを起こしたのは荒々しいノック




ドンドンドンッ





「…………。」





寝起きのせいもあり、カブトはあまり機嫌が良くない表情を浮かべ、その扉に視線を向ける




「おいっ! カブト居るんだろ!?」




男の声だった




カブトは眼鏡を手に取り、掛けると足音を立てて扉に向かう





ガチャ…





「何の用ですか?」




来客者は大蛇丸が音の里へと連れてきた忍達のうちの一人
その厳つい顔でカブトに問い詰める




「カブト、大蛇丸様は何処にいんだ?」




“様”を強調するように言う




「何故貴方がそんなことを? 大蛇丸様はお忙しい、要件なら僕が…。」




その言葉を聞き、男はカブトの胸ぐらを掴み上げる




「オラァ大蛇丸様が何処にいるのか聞いてんだ…答えろ…。」




「………。」




答えようとしないカブトに男はそのままの体勢で囁く





「なぁ、カブト。オレ等と組まないか?」




「組む?」




「お前も大蛇丸を良く思ってねーんだろ?
その若さで仕えてたら苦労も絶えねぇだろ?」





「…貴方は僕の事を勘違いしてます。
大蛇丸様は今の僕の存在を証明して下さるお方だ。
大蛇丸様が居なくなっては“大蛇丸様の部下である僕”はまた消えてしまう。」




男の雰囲気が変わる




「…もやし野郎の分際で…‼
だったらしょうがねぇなぁ!?
大蛇丸の前にてめーを今此処でーー‼」




何処からか、斧を取り出しカブトに振りかざす




「うらぁぁぁ‼」





ガキンッ‼




その斧はカブトに当たる前に何かによって弾かれた



宙を光るものが舞うと地面でガランッ、と金属が落ちた音がした




カブトと男の間に割って入ったのは剣を振り切った状態で静止している裕巳




カブトは驚きの表情を浮かべ、男もまた斧の先を見て驚愕していた



男の足元に降ってきたその金属は斧の刃が真っ二つに斬られた片割れだったのだ




裕巳はカブトに背を向け、男に向き合い口を開く




「武器も持っていない人に…そんなもの向けるなんて貴方、私に殺されたいの?」




いつもと違う雰囲気が裕巳を取り巻いていた



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