第二章

□24.過去の憎しみ
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「…どうして…!?」




「…調べさせてもらったよ、君のこと。」




その言葉は偽りで、本当は裕巳の記憶を覗いて得た情報だ




裕巳は両手を下ろし、地面に視線を落とす




「…では…知っていたんですね。
私が何をしてきたか…だから…。」





裕巳は昼間の出来事を思い出す





「あぁ…。」





「カブトさんにとって私は、その大切な人の仇みたいなものですね…。
虫の良い事を言いました、許せる訳ないですよね…分かり合えるなんて…そんな訳なかったですね…。」





「………あぁ、虫の良い話だ…。」




違う




「私、最低ですね…自分の罪から目を背けてカブトさん達の隣で笑ってたなんて…。」




そうじゃない




「僕は君を…。」




感情が…抑えきれない…‼




「……………。」





「殺したくて堪らないっ‼」





利き手でない方で裕巳の首を掴む




裕巳は抵抗を見せない





「…良いですよ、私を殺すことでカブトさんの憎しみが消せるのなら……。」





カブトは死を受け入れる瞳を見て問う




「何故そんな簡単に命を捨てられる?」





裕巳は柔らかく微笑む




「フフ…簡単なんかじゃないです。
罪を裁いてきた忍が…私だけがのうのうと生きていけるなんて思ってませんから。」





「大蛇丸様はのことはどうするつもりだい?」





「…可笑しなことを言いますね、カブトさん。
…貴方がいるじゃないですか。
大蛇丸様のこと、お願いします。」





何故君は他人にそこまで優しく出来る?




それがまたマザーと重なる




”また“マザーを殺してしまう…





目の前にいるのはマザーを殺した忍ではない

自分に愛情を向けてくれる唯一の存在

マザーと同じ”光“


この光を消してしまったらまた闇の中を歩き続けなければならない


大蛇丸の他に唯一出来た自分を知っていてくれる存在












僕はーーーーー










「ーーーーカブトさん‼‼」





突如裕巳の切羽詰まった叫び声が夜の静寂を掻き消した





ドンッ、と言う衝撃に突き飛ばされたと思ったら目の前が赤く染まる






ーーーードサッ





一瞬の出来事が二人を襲った





倒れた二人を見下ろす人物は顔を歪ませる




「まずはペットを二匹……。
クッ…クククククッ…!」




その笑い声は闇に呑まれて消えた




*2015/12/7*
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