逢魔の砂時計

□嫌いって言って
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「ねぇ、バクラ。ボクのことどう思ってる?」


「…何だよ、突然…。」


「好き? 嫌い?」


眩しいくらいの笑顔でバクラに訊ねる獏良


バクラが何か言おうとした時、茶々が入る


「ヒュー! お熱いねーお二人さん!」


「…! うっせ城之内! つーか何でてめーが居んだよ!?」


「何でって学校帰りに遊戯と俺と獏良でゲームやろうぜって話になったからだぜ?」


「何で俺様の家なんだよ!」


せっかく獏良と過ごす時間を楽しみにしていたのに…とバクラは舌打ちする


「ボクの部屋なんだけど。」


と、一応獏良が突っ込む


「ま、そんなことどうでも良いだろ!
それより獏良が捨てられた仔犬みてーな目で見てるぜ?」


と言われて振り返るバクラ


「うっ…。」


本当に捨てられた仔犬のような瞳でバクラのことを見ていた


「ねぇ…人前じゃ言えないの…?」


「そ、んな訳ねーだろ! 俺様を誰だと思ってんだ!」


「…………。」


一同が見守る中…


「す、好きに決まってんだろ‼ 嘘なら死んでも良いぜ!」


「…………。」


獏良は俯き、ふるふると震え始める


「なんだなんだ? 泣くほど嬉しいってか?
ったく、お前は本当にーーー。」


その言葉の続きは途絶えた


獏良によって


「バクラの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


獏良の平手がバクラの頬にめり込み、バクラは五メートル程吹っ飛んだ


ドカーーーン!


「…いや、吹っ飛び過ぎだろ。」


ダダダッ、と獏良が出ていった後に城之内がおっかなびっくりに呟く


バタンッ!!


「…全く、宿主心の分からない奴だな。」


「宿主心…って何だよ…ゲホッ…。」


バクラは壁にめり込んだ頭を引き抜きながら遊戯と入れ替わったもう一人の遊戯に力なく訊ねる


「今日は四月一日だぜ?」


「…それが何だよ?」


「四月一日、今日はエイプリルフールってことだよ!」


城之内が教えるがバクラはまだ理解しない


「…エイプリルフールってのは何だ?」


「嘘を吐く日ってことだ。俺は相棒から聞いたぜ?」


「そ、そんなもん俺様が知る訳ねーだろ!
じゃあつまりなんだ? 宿主は…。」


「『好き』の反対…『嫌い』って言って欲しかったんだろーよ。」


「なっ…!?」


「早く追い掛けて『やっぱり大嫌いだ』って言ってやれよ。」


「や、宿主にき…嫌…!?」


「ほらほらバクラく〜ん?」


「き、嫌いなんて……言える訳ねーだろ!
宿主ぃぃぃぃ!!!!」


バタンッ‼


叫びながらバクラは部屋を飛び出した


「…あーあ。行っちまったぜ。」


城之内が呟く


「ねぇ、もう一人のボク。ボクのこと好き?」


「俺は日本の人間じゃないからな、俺の言葉で伝えるぜ。愛してるぜ相棒。」


「嬉しい! もう一人のボク!」


イチャコライチャコラ


「お前らも充分熱いわ‼」


城之内は心に虚しさを感じながら叫んだ


2016/03/21





「な、なぁ、宿主。機嫌直せって…。」

「…フン。バクラなんて大っ嫌い!」

「……ッッ! 宿主ッッ‼」(抱ッ)

「シュークリーム食べたい。」

「行って来るぜ!」

「(ふっ…。チョロい。)」
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