逢魔の砂時計

□闇の監禁愛活
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ボクが知る世界はこの部屋が全て


ボクはこの小さな小さな世界で生きている


そしてこの小さな世界は愛に溢れている


ギィィ…


玄関の開く音がした


帰ってきた ボクの世界を彩る彼が 帰ってきた


バタバタとボクは玄関へと走る


「おかえり! バクラ!」



口角が自然と上がる


心が踊る


そう、彼がボクの世界の全て


「ただいま、宿主。」


バクラがボクの身体を受け止める


ガチャ


バクラの後ろで鍵のかかる音がした


ジャララ…


用心深くチェーンまで



「ねぇ、バクラ。」


「ん? 何だよ。」


「玄関の鍵…増えた?」


前は確か一つの鍵とチェーンだけだった筈


今は二つの鍵とチェーン


「あぁ、物騒だからな。」


そう言いながらバクラは笑顔を向ける


「ボクのこと心配してくれてる?」


「当たり前だろ。」


バクラは優しく獏良に囁く


「へへ…ボクバクラに愛されて幸せ。」


「俺もだ…。」


「ねぇ、外の世界って何があるの?」


ただの興味本意だった

ボクは外の世界を知らない

テレビやベランダから見た景色しか知らない


バクラの瞳から光が消えた


「俺様以外に興味を示さなくて良い…。」


ボクにバクラの体重がかかり、膝をいてそのまま後ろに倒れた


「バクラ…?」


「外は危険なものが多すぎる…そう教えただろう?」


「うん、でもバクラが外に出てるから。ボクはバクラが何を見ているのか知りたい。」


「俺様には宿主しか見えてないぜ…?」


バクラはそっとボクの頬に触れる


「どうしてバクラはボクのことを“宿主”って呼ぶの?」


ボクはボク バクラはバクラなのに


「俺の心はお前がいるから宿っているからだ…お前が居なくなると考えたたら俺様は…俺様の心は死んでしまう…。」


「バクラ…。」


「お前は…どうだ? 俺様より外を求めるのか…? 俺様はお前にとって要らない存在か? “幸せ”を感じられたら俺様じゃなくても良いのか…?」


急にバクラの瞳に恐怖が映った


「バクラ…そんなことないよ?
ボクの世界にはバクラが必要。
バクラが居ないとボクの心も死んでしまうよ。」


「宿主…ッ!」


バクラは倒れてるボクに抱きついた


「よしよし…バクラ…泣かないで?
ボクは何処にも行かないよ?
ゴメンね、外に興味を持って。もう言わないから…。」


「本当か?」


「うん。」


「誓えるか?」


「うん。ボクはバクラだけ居れば良い。
神様に誓うよ。」


「俺様も…お前に誓うぜ…。
お前だけを愛す、お前だけを見る。…お前だけなんだ…ッ!」


「ありがとう…嬉しいよ。
…あれ? バクラ…袖が汚れてるよ?」


ボクは今気がついた

バクラの袖口に黒いような赤いような汚れが付いている

バクラは起き上がって確認すると袖を捲ってそれを隠した


「ただの泥だ。…あ、そんなことよりお前、パソコンが壊れたって言ってたろ?
治す金、下ろして来たから明日修理に持って行くぜ?」


「わぁ! 本当? ありがとうバクラ!」


「お前の為だからな。これくらい御安いご用だ。」


「お金かかるんでしょ? ごめんね…。」


「金の心配なんかするな、大丈夫だ。」


「…そう? ありがと。」


ボクが笑うとバクラもまた笑った




誰にも壊させない

誰にも踏み込ませない

お前のいる世界を守る為なら俺様はなんだってする…

なんだって…




手だって真っ赤に染めてやる………



2016/03/27
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