逢魔の砂時計

□光の監禁愛活
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この部屋はボクの物語


登場人物はボクとバクラ


それだけで充分 ううん、それ以外必要なものなんてない




「バクラ。」


学校から帰ると獏良はバクラの待つ部屋へと向かい、背中に声をかけた


なにやら盤ゲームを弄っていた様子

しかし獏良の声を聞くとピクッと反応し振り替える


「宿主!」


まるで兎のように獏良の元へ飛んでくバクラ


獏良は腕の中に飛び込んできたバクラを抱き締める


「バクラ〜会いたかったよ〜。
良い子にしてた?」


「もちろん! 宿主との約束だからな!」


ぱあっと眩しいくらいの笑顔を向けるバクラ


「そっか、偉い偉い。」


バクラの頭を撫でる獏良


すると何かを思い出したようにバクラは離れた


「あ、そーだ宿主! 宿主が留守の間に荷物が届いたんだ!」


ダダッと隣の部屋へ駆けていく


獏良は茫然としてバクラが帰ってくるまでそこから動けなかった


「……………。」


段ボール箱を持ってバクラが目の前に立つ


「これ何だけど…。」


「…………。」


「…宿主?」


「……たの?」


小さく呟かれた言葉はバクラに届かなかった


「え、何?」


聞き返した瞬間、直ぐ後ろの壁に獏良の手が叩き込まれた


ドンッ‼


「ーーーー‼」


ビクッ! と肩を上げるバクラ


直ぐ目の前に虚ろな瞳を持つ獏良


「外に出たの…?」


「で、てない…。ただ……荷物を受け取っただけ……。」


声を出すのが精一杯だった
獏良の表情に恐怖を覚える


「荷物を受け取った…?
ボク以外の人と…お話した?」


「……‼」


バクラは何も言うことが出来なくなり壁を背ズズ…と床に落ちる


バクラの表情を見た獏良は柔和な笑みを浮かべると視線を合わせてバクラの頬に手を添えた


「ごめんね…怒ってる訳じゃないんだ、ただ…君に何かあったら心配で…。」


「ご、ごめん…。荷物を受け取っただけでそれ以上のことは喋ってないし関わってない…。」


「そっか…。良かった、これからはチャイムが鳴っても出なくて良いからね?」


「でも、宿主の荷物は…。」


「良いんだよ、こんなものより君の方が大切だからね…。」


獏良は強くバクラを抱き締める


触れさせない…


君の手も 声も

君の記憶はボクだけのものなんだから…


ボク達の物語に敵も村人も仲間も必要ない


ボクと君だけが

世界の全てなんだから…



2016/03/28
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