逢魔の砂時計
□愛するカード
1ページ/2ページ
「ラー…。」
その声は深い森の中で消えた
「苦しいねぇ…痛いねぇ…腹立たしいねぇ…。
鎖に繋がれて、便利に道具のように使われて、好きでもない主人と融合なんて…お前の怒り…絶望が俺に伝わってくるよ…。」
ラーの悲鳴が聞こえてくる
「コピーカードと言えど俺とお前は繋がっているようだ…オリジナルはもう俺の手にはないけどねぇ…。」
ラーが哭いている
「さぁ…貴様は神のカードにどう対抗する?」
彼はラーのコピーカードと戦っているデュエリストを見た
カードは兵器にあらず
お前の強さに俺は惹かれ
お前を愛していた
お前が俺に力を預けるというならば
俺はそれに応えよう
幾戦の戦いを潜り抜け
闇を照らす輝かしい太陽
神々しい金色の不死鳥
俺はお前を殺されない
俺はお前を生かし続ける
何度も何度でも
俺のデッキのテーマである“不死”
お前の前に俺がいる限りお前は不死だ
お前の力が相手に劣るなら
俺が力を与えよう
俺とお前は常に共にある…
「さぁ、ラーよ墓地より蘇生し天を舞え 炎を纏い不死鳥となりて‼」
クククッ…お前はそいつに付いたか…
さぁ、お前をコケにしたあの男を焼き払え
男の悲鳴が聞こえてくる
「静かに眠れ、ラー…お前はもう俺の手にはない。」
2015/04/04