《第3弾》〜Я-R〜

□〜第7章〜
1ページ/3ページ

プリンス就任から
1カ月ほど経ったある日の朝――


「おはようございます、ブレンダ様」

「……おはよう」

今日もユーリは小悪魔スマイルで
プリンセスを起こすと
きびきびと身支度を手伝っている。

その動作には一切の無駄がなく、
感動すら覚えるほどだった。
仕事ぶりをちらりと見ただけで
ユーリが『出来る人』であることは
誰の目にも明らかだった。


「おはよー」
「おはよ」

ユーリが既に今日の執事業を始めていた
ちょうどその頃、
ノアとカインは食堂へ向かい
流れるような所作で腰を掛けていた。

「おはよっす」
「……おはよ」

そこへ、二人より少しだけ遅れて
アランとルイも姿を現した。

焼きたてのパン
搾りたてのアップルジュース
挽きたてのコーヒー
王宮特製ジャム
フレッシュ野菜を添えた
ふわとろオムレツ
フルーツ盛り合わせ

シンプルながらも
味と栄養と愛情が調和された朝食を
4人は優雅に口に運んでいる。

彼らの素質の良さと美的センス
そして厳しいレッスンの成果もあり、
プリンス達は
どこへ出しても恥ずかしくないほど
完璧な所作を身につけていた。


「おはようございますー」

そこへユーリが
ブレンダと一緒に食堂へやってきて
みんなと合流する。

「おはよー、ブレンダー」

 「ノア、おはよう」

「おー、今日のドレスはブルーか」

 「ええ。ユーリが選んでくれたの」

ブレンダはドレスの裾を摘まみながら
カインの方へふわりと微笑んだ。

「ふーん…いいんじゃねえの?」

 「あら、ありがとう。
  アランのそのネクタイも素敵よ」

つい先日まであった
プリンスとプリンセスとの微妙な壁も
今では無くなり、
他愛ない会話が交わされていた。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ