僕はただのモブキャラなんだ

□00.平和って知ってるかい?
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立海大付属高校

その昼休みの最中、とある教室の一角ではアプリゲームで毎日盛り上がっていた

竹山「おーい、殲滅戦来てよー」

『君はグラク○してんのかい』

宮田「いやいや、協力プレイしようぜ」

『君はパズ○ラかい』

伊藤「やった!フルコンだぜ!」

『君はバ○ドリね』

4人のゲーム好きは毎日飽きもせずに集まっては色々なゲームをやっているのが日常

昼休みにゲームをやっており、ごく普通の高校生であるが、彼らはそこそこ頭が良い

この高校は周りよりも偏差値がかなり高く、外部生は試験の難しさに落ちる事が当たり前

エスカレーター式の学校とは言え、内部生での入学をするのはかなりの者である

そんな中、彼らの教室では最近と言って良い程毎日聞く会話が存在した

それが女子の話している会話だ

「ねえ今日も行かない?」

「はまっりぱなしね。私も行くわ!」

「ねえねえ、私も行きたい!」

この高校の女子生徒は昼休みになると放課後の事を考えており、かなり熱烈なファンまで存在する

竹山「しっかし、もう4月も終わりかー」

伊藤「なーんで俺達揃ったんだっけ?」

『知らない』

宮田「天才だから!」

『くたばってろ』

宮田「待って!1万ダメ痛い!」

伊藤「ばっかやろう!何体力残してんだよ!留めさせよ!」

竹山「このキャラ普通に強いじゃん。何その特殊戦技」

『毎ターン自キャラのスキルカード使うと攻撃力増加が永続して増えてく。1ターンでも切れると効果は全て消える』

竹山「やっべ、50万ダメ入ってんじゃん」

『よゆー』

昼時間はゲームして過ごす

それが日常






『じゃ』

宮田「明日なー」

竹山「おー」

伊藤「へーい」

駅で別れてそれぞれの家に帰る

氷月の家は立海高校の最寄り駅から東に離れており、伊藤は西に離れている

宮田と竹山は電車通学だからいつも駅で集合して、駅で解散している

『ただいまー』

マンション暮らしの部屋には誰もいない

両親も生きてるし、祖父母も生きてる

氷月は地元から離れたこの高校に入学し、親の親戚のマンションであるこの部屋を格安で借りている

入居費は祖父母から高校祝いで、月々は両親が払い

月初めにはガス代や電気代等を含めずに3万程度貰っており

さらに毎月、彼の実家から石鹸と製剤を仕送りされていた

1人で暮らしているからこそ、食品や色々な備品を買っていれば2万はすぐに消える

残った1万で文房具やらなんやらの買い足しをすればこれもすぐに消えるだろうと考えた

氷月は部屋に戻ると制服をハンガーにかけ、ワイシャツを洗濯機の中へ入れ、いつものパーカーとジャージを身に着け、フードを被ってからマラソンを始めた

肌を露出するのが嫌いな氷月は夏だろうと炎天下だろうと長袖長ズボンは欠かせない

平日は学校が終わってから5キロ、休日は午前と午後に5キロの計10キロ

そんな生活もまだまだ始まったばかりだった






地形を覚えるためスマホで適当に5キロの道順をリストアップして走る

両耳にはBluetoothイヤホンを差し込み、そこから好きな音楽とナビが流れ始めた

都会の信号は多く長いため、赤信号で止まっている時に柔軟体操を忘れない

片方の耳だけイヤホンを外し、いつものように柔軟体操を行うと思うと

?「いつも走っているな」

後ろから急に声を掛けられ、氷月はその場で振り返った

辛子色のジャージを着こなし、おかっぱ頭の男性

肩から大きなテニスバッグを背負っている事で、自分の通っている高校のテニス部員である事がすぐに分かった

『...まあ、日課だし、暇だし』

そっけない返事に対し青年はどこ吹く風のように流している様子が伺える

?「同行しても良いだろうか?」

『僕は別に構わない。けど帰宅時間はいいのか?』

?「今日は早くに部活が終わったんだ。それに両親の帰りが遅いため、午後7時までに帰宅すれば問題はない」

「優しんだな」といった青年の言葉を無視して青信号になった横断歩道を走る

慌てる様子もなく、青年は涼しい顔で付いてくる

ふと思い出す「たしか隣クラスの頭が良い人だった、はず?」とあまり覚えていない3人以外の顔を思い浮かべ「あ、新入生代表の人?」とすぐに思い出した

でも、そんな事に興味はない






マンションから一番近い公園についた

時刻は午後5時半、青年「柳蓮二」は少し息を上げる程度で、その顔に疲労の色も見えなければ特に普通であった

走っている最中に自己紹介を交わし、氷月の思い出した通りに人である事も再認識した

柳「いつも走っているのか?」

『基本的には』

柳「なるほどな」

会話が成り立たない

氷月は少々コミュニケーションの取り方が分からない生徒、入学当初は話しかけて来る人は多かったがそのコミュニケーション能力のせいで友達も話し相手も作る事は出来なかったのだが

暇で開いていたアプリゲームをやっている最中、背後から急に声を掛けられて今の3人がいる

柳「お前は外部生だと聞いているが、どうして此処に来た?」

『え?面接みたいだね。「どうして此処に」か。うーんっと、あ、知り合いがいるから』

柳「知り合い?」

『うん。けどその知り合いから「他の人に俺の事を言うな」って言われてるから何も言えないよ』

柳「ほう。それは興味があるな」

何処から取り出した分からないノート

柳はそこに何かを書いて行くと、氷月にあえて見せるような角度で書いていた

柳「興味がないのか?」

しかし、そのノートを見る事もなければ、意識して目を逸らしている訳じゃない

『うん。他人のメモ書きには興味がないんだ』

「じゃあ、夜道に気を付けて」と素顔を見せる事無く、氷月は走りさった

その後ろ姿を見ていた柳は何処か楽しそうに微笑む

柳「「他人のメモ書き」か。「眼」がいいのか「勘」がいいのか、それとも「異常な程頭」がいいのか」

今年の新入生代表は「柳」ではなかった、本来なら柳よりもテストの点数が良い人がやるはずだったが、その人物がキャンセルをしたそうだ

学校には「精神的な病気を抱えているため、プレッシャーを与えないで欲しい」との事だった
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