世界が違う

□手の中の物
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もうすぐ俺が此処に来て5年が経つ

玉狛での写真がもう1枚増える

なのにあの人は帰ってこない

今日も本部でほつき歩く

最近はかなりトラブルもあるために本部の中を歩く事が当たり前になっている

玉狛の人間が本部にいる事は少ないため

他の隊員は「何事だ!」となる人も少なくないらしい

風間「何をしている、迅」

迅「あれ風間さん、今日は任務?」

風間「太刀川の日頃の行いの報告に行ってきただけだ」

迅「ああ、なるほどね...」

だからさっき、鬼のような顔をして会議室から出てきたのか、納得

風間「それで?何をしているんだ?」

迅「情報取集さ」

風間「まだあそこに通っているそうだな」

迅「あれ?太刀川さんが言った?」

風間「そうだ」

そして風間さんは私服姿で俺をずっと見る

迅「えーっと...」

風間「俺だってお前と違って街に出る。情報くらいはくれてやる。4年もそんなだと帰ってきたあの人を困らせるぞ」

迅「...そうだね」

そして、風間さんの未来を視る

そこには俺が映っていて、怪しい人物が立っていた

灰色のローブで全身を隠し、口元は緩い弧を描いていた

風間「何があった?」

迅「うん、風間さんと俺が知らない人と戦っているみたい」

風間「知らない人?」

迅「ローブで隠れて全く分からない人」

風間「それは今日かもしれないな」

迅「え?」

風間「俺も行く。たまには付き合う」

そう言って風間さんは俺の横を通り過ぎると、本部の出口へ向かって行く

そしてまた視える未来

迅「!」

そこには風刃を持っている太刀川さんが視えた

あの人は風刃に選ばれなかったのに、どうして

風間「迅、行くぞ」

迅「あ、はい」

視えた未来に整理がつかないまま、風間さんは俺を待っていたらしく俺を呼ぶ



毎日来ているはずなのに、季節や天気次第で景色は変わる

もうすぐで春がやってくる、空に浮かぶ薄い雲を見上げる

何時もは1人なのに、今日は隣に居てくれる人がいる

風間「迅、もういい加減に変われ」

迅「...それ、食べながら言っちゃうんだ...」

風間さんの手の中には俺のぼんち揚げ

懐から出した瞬間に取られてた物だ

風間「太刀川は馬鹿だが、此処まで長引けは第三者以外は分かる事だ」

もぐもぐと次々に口の中に放り込んでは正論を言って行く

俺だって変われたら変わっていられる

風間「今のお前は昔の白川さんそのものだ」

迅「え?どう言う事?」

空を見上げていた顔を戻し、リスのように頬にぼんち揚げをため込んでいる風間さんを見た

風間「あの人も無理して笑っていた。俺達を困らせず、安心させるようにな」

迅「それ、本人に言った?」

風間「言った」

迅「それで?」

風間「「我が笑っておれば周りは笑うじゃろ?我は古株じゃかなら」ってな」

実にあの人らしい

沢村【やっぱり、迅君と風間君ね】

迅「沢村さん」

トリオン体である俺と風間さんの耳に入った声は忍田さんの部下である沢村さんだ

沢村【今ね、不思議なトリガー反応があったから調べている途中だったの】

風間「不思議なトリガー反応?」

沢村【そうなのよ。度々起こる門からもう1つ反応があったって話を聞いたの。覚えてる?】

それは2週間ほど前の夜勤任務の事だ

その時、対応していたのは嵐山隊と諏訪隊

なんでも嵐山隊の方からはトリオン兵が出てきたのと同時に全身をマントで覆い尽くした人型も現れたと言う

だが、トリオンを扱っているのであれば此方で反応を拾い追尾が可能だが

その反応は諏訪隊が追っている最中に忽然と消えたと言う

こちら側の不具合化と思ったが嵐山隊も諏訪隊もその人物を目視しており

こちら側の機械も正常に動いていたそうだ

それ以来、度々反応が出たかと思えば消えたりを繰り返しているために

防衛任務と同時に操作も進められている

今任務に就いているのはA級7位の三輪隊とB級6位の東隊の2チームだ

風間隊は夕方かららしいが、先ほども言ったように

太刀川さんの日頃を師である忍田さんに報告しに行ったために早めに本部に来る事になった

あれ?でも

迅「なんで俺達を調べて...」

沢村【いや、近くまで反応があってね】

迅「!」

その時、人影が見えた

隣にいた風間さんも一緒のようで急に立ち上がり空になったぼんち揚げの袋を握りつぶしてポケットに入れてた

俺も情景反射でその場に立つ

迅「見たよ。救援よろしくね」

沢村【ちょ、待って迅君!】

通信を切ってカメレオンを起動する

2人を揃って地べたに着き、相手の向かった方向へと後を追った
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