世界が違う

□おかえりなさい
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林藤sid



迅と相手が行方不明になってから2時間が経った

夕方から任務の風間隊は隊長不在で防衛任務につき

今日だけはと、二宮隊、加古隊、荒船隊が追加で防衛任務に着いた

一方、戦闘に参加していた東隊、太刀川隊、風間は迅の事を最優先に考え

落ちた下水道の瓦礫の撤去作業を行いながら辺りを捜索した

三輪隊は隊長のトリオン切れとチームメイトである古寺の様子がおかしいと言う事で本部へ戻った

2人のトリオン体は完全に解けたと風間、太刀川、出水に狙撃組が確認し

相手のトリオン体を貫いた狙撃は三輪隊の古寺の物だった

奈良坂や東が絶好のチャンスを逃すはずがない

あの状況で撃ち落としトリオン体を破壊すれば無事では済まないだろうと

相手の体の事を第一に考え狙撃をやめた

しかし、古寺には相手を無力化する事だけを考えたために迷う事無く引き金を引いたようだ

それを後から教えてもらった古寺は自分のしでかした大きな罪悪感に潰され

かなり、いや、これはかなりと言っては少ないが大きな落ち込みが感じられた

忍田「捜索は続けるから、今日はアイツらを宥めてくれ」

林藤「分かってよ、お前も体には気をつけろよ」

忍田「ああ」

本部で忍田と別れてすぐに玉狛へ向かう

迅が行方不明になったと聞いた玉狛の全員は

今すぐにでも飛び出しそうな勢いでトリガーを手に立ち上がったそうだ

だが、ボス命令で待機を命ずれば渋々と言った感じで留まった



林藤「...なんだこれ」

『ぬ?ああ、林藤さん。おかえりじゃけんね〜』

そこには何とも言えない不思議な不思議な光景が広がっていた

テーブルにはガチガチに固まった三雲が座っており

小南を驚きを通り越しているのか固まったまま動かない

京介はその場におらず、廊下を水拭きしており

陽太郎は何故か怯えている雷神丸を心配し

2つあるソファーには額に包帯を巻いき少し汚れたローブを羽織っている迅と綺麗に寝ている宇佐美がいて

木崎と千佳ちゃんと遊真は今回の元凶であるに違いないと言う人物の手当てをしていた

烏丸「レイジさん、拭き終わりました」

木崎「すまないが熱いココアを入れてくれないか?とりあえず人数分」

烏丸「分かったっす...?」

スタスタと俺の目の前を通る京介の肩に手を置くと振り向きざまに「おかえりなさい、ボス」と言われた

違う、そうじゃない

誰か説明をくれ

『ありがとさん、我は大丈夫じゃからもうええき』

元凶は何事もなかったかのように隣に座る千佳ちゃんの頭を撫でる

雨取「い、いえ...」

千佳ちゃんは緊張と言うよりも何かに怯えている感じだ

空閑「随分と遅かったね。何してたの?」

『いやな?7ヶ月くらい監禁されておったんじゃよな』

空閑「ドジしたの?」

『否定しんが聞いてくれ。着いたら牢獄のなかじゃった』

空閑「まあ、ラッドだからね」

『じゃろ?我は悪ない』

だから

林藤「氷月。覚悟は出来ているんだろうな?」

『残念じゃが体は無理じゃよ』

ヘラヘラと久しぶりに見るような笑顔を見せられる

やはりと言ってもいいのか、あの時よりも大分大人になった



林藤「なるほどな、こっちは死に物狂いで探していたんだぞ」

『ほいほい、それは知らんかった。すまなんだ』

要約すれば

地面が落ち、トリオン体が切れた2人は素直に落下し

迅はその間に気絶

氷月の異常な反射神経と運動神経で迅を抱えながら落下中の瓦礫を伝って安全な所へ着地

瓦礫同士でぶつかった小石が所々を掠め怪我をしながらも無事であり

昔探検したと言う下水道内を彷徨う事2時間

玉狛の近くへと行きつき、我が家に帰るつもりでインターホンを鳴らす

出て来たのは宇佐美で氷月は騒がれる前に気絶させ

迅を肩に、宇佐美を脇に抱えてリビングへと入る

最初に驚いたのは三雲で担がれた迅と宇佐美を見て硬直

そして小南は氷月を見て亡霊かもしれないと言う恐怖で硬直

木崎は肩から血を流す氷月をとりあえず手当てしなければと思い救急箱を取りに立ち上がり

それを見た千佳ちゃんはその手伝いを

廊下は氷月の血で汚れたために木崎の指示によって烏丸が廊下を水拭き

その間に遊真は悠長に話しかけて場を和ませながら

担いで来た迅と宇佐美をソファーへ一緒におろし

木崎の手当ては「迅を優先」の言葉に従って治療

そして、そこに俺が帰って来たと

林藤「言うんだな?」

『おん、そうじゃよ...。ぐるじぃ、ガキンチョ2号...』

小南「う、うるさい!」

脳内で整理している間にも小南は正気を取り戻し

椅子に腰かけている氷月の首を背後から腕を回し強く抱きしめていた

そして三雲は游真が声を何度か掛けたら意識が戻ったようだ

『我、ココアを、所望、する、なり...』

小南「ダメ!」

『解せぬ...』

それはこっちのセリフだ
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