世界が違う

□監視行動
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迅sid



城戸さんとボスから白川さんの監視を任せられた

肩から垂れる布に包まれた左腕

傷はかなり深いようで絶対に腕を動かしてはいけないらしい

そんな中、俺と白川さん居るのは開発室Cだった

鬼怒田「どうだ?」

『...違和感なさ過ぎて怖いぞよ』

鬼怒田「4年も経てばな」

旧ボーダー時代から使っていたトリガーは

修復不可能までに使われているために新しいのが用意された

衣類の設定はしていないので、今は私服である灰色のパーカーと黒いジーパン姿だ

鬼怒田「衣服の設定はどうする?」

『え?そんなんも出来んのか?』

鬼怒田「出来る」

『ほうほう、どうしようか...』

迅「俺と一緒にしてほしい。鬼怒田さん」

鬼怒田「...そ、それでいいのか?」

『ん?まあええさ』

鬼怒田「分かった。すぐに設定するから10分後に来い」

『了解じゃけん』

開発室から出て向かう先は何処もない

強いて言うなら、人目に付かない場所なら何処でもいいのだ

彼女の処遇は戦闘員復帰だが、まだそれは知られていない

だからこそ、今の彼女が此処に居るのは不思議なのだ

迅「何処に行きたいとかないんですか?」

『特にはないぞよ。それよりもオプショントリガーについて知りたいじゃけん』

迅「ああ、増えましたからね。4年前より」

『おん、お前さんらのために使える武器は用意しんとな』

え、ちょっと待って

迅「あの、俺、言いましたっけ?」

『過去と言うのは素晴らしいぞよ』

あー、過去視、怖い!

迅「じゃあアドバイスくれませんか?」

『?、我から?アドバイス?』

迅「はい」

廊下を立ち止まり面と向かう

その表情は何時もと一緒でヘラヘラとしているけど、動揺の色も見えた

『そうじゃのう、我の弱点は我じゃ』

迅「?」

『我は心底我の事が嫌いじゃ。嫌いで嫌いで、どれだけ殺したいと思っても出来ん。だからこそ、我の弱点は我なんじゃよ』



風間「今のお前は昔の白川さんそのものだ」



風間さんに言われた一言

そうだったんだ

また1つ理解出来た

昔の白川さんは誰よりも長くトリガーと言う武器を持ちながらも

人を救えないのは自らの実力が足りないからだと感じている

そして、あの日に起こった最上さんの事も自分の無力さが招いた事だと思っていた

俺もそうだ

「未来視」と言う武器を持ちながらも救えない人がいた

母親に最上さん、今でこそ此処にいるけど白川さんの事もそうだし

支部に来た後輩の1人、メガネ君だって一緒だ

武器があるのに、救えない命がある

それは本当に自分の存在価値が問われて、自分の事が嫌いになるんだ

俺の弱点は俺自身

白川さんの弱点は白川さん自身

また1つ白川さんについて分かって

俺自身の感情を理解出来た

でも、俺と白川さんでは勿論の事意味も変わってくる

どうして嫌いなのか?

さっきも言ったように俺は「未来視」と言う誰にもない特別な武器を持ち合わせている

けど白川さんの場合の武器は「トリオン体」だ

それは今、新しくなるために武器とは到底言えなくなるだろう

ならば、他には何がある

遊真の話によれば近界は戦争の海で、此処は平和だと言っていた

新しく身に着けたと言う意味では「自身の戦闘スタイル」も武器なる

突破口は、何処にあるんだ

『ま、よく考えるんじゃな。1週間後じゃろ?対戦は』

迅「え、そこまで見えてたんですか?」

『声の出んお前さんの言葉、どうやって理解しておるか忘れたんか?』

迅「......」

本当に過去視、立ち悪いっ!

過去の映像には色は残っていても音が残る事は少ない

人の言葉なら口の動きや場の雰囲気で分かると言うが

そうだった、この人には読唇術もあるんだった

『ほれ、監視役。我を何処に連れてってくれるんじゃ?』

迅「...とりあえず、対戦ブースに言って戦闘見ますか?説明もしやすいですし」

『そうじゃな。それでええよ』

公にされてはいないけど、他の人にもこの人が帰って来た事を知らせあげたい

今はそれで満足するよ

迅「こっちです」

『ん、了解じゃけんよ』

今はそんな余裕そうな表情してますけど

俺はあなたの事を「女性」と見ていますからね

何時か教えてあげますよ
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