世界が違う

□疲れた日
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白川sid



昨日の事があったからこそ

今日は悠一がずっと一緒にいてくれる

迅「あ、これこれ」

『携帯か?随分と画面が大きいのう。入力はどうするんじゃ?』

迅「これはスマホだよ。画面をタッチして文字とか入力出来るんだ」

『進歩したのう』

大きなデパートで連絡手段を買う

何時も誰かを通したり、トリオン体の通信機能では足りないと言う事で買いに来た

因みに、お金は林藤さんが出してくれるようだ

迅「俺がこれを使ってるから、氷月はこっちの色違いね」

『まあええよ。我は機能性重視じゃから。それに分からん事あったら悠一に聞けばええしのう』

迅「!、そう言う不意打ち、氷月だから出来るんだよ」

『まだまだガキじゃな。そんくらい慣れてろ』

赤面する悠一に生意気な一言を吹きかける

迅「氷月だけだってきめてたから...」

『綺麗な顔しとるし、性格もええし、声も可愛い。見た目では結構モテるじゃろ』

迅「そんな事ないのに...」

『そうじゃなー、後はー』

迅「あーダメダメ!これ以上はこっちがダメだから!ほ、ほら!早く会計を済ませて本部で携帯使い方教えるから!!」

『我は機械音痴じゃないぞよ?』

迅「さ、さあ、早く早く!」

彼の片方の手には我の手首がいつの間にか捕まっていた

赤面したまま悠一は会計の方へ進んでいくけど

我にはもう少し楽しみたかったと思う半面

もう悠一は大人になったんだなと言う残念な思いもあった

契約等の話を悠一が決めている間、我は悠一の事しか頭になかい

小さい頃は可愛い弟だと思っていた

実の兄との兄妹よりも、悠一と過ごした日のほうが姉弟と思えた

拾って来た時はちょっとだけ後悔した

本当は我が寂しくて連れて来たんじゃないかと思って

そう思っている我は人間なのかと疑問があがる

学校のクラスメイトに虐められてた時は、別に何とも思わなかった

家族の会話に入れなかった時も、別に何とも思わなかった

なのに、初めて頼ってくれた人が「悠一だったんだ」って思うと

少し心の何処かが満たされていたんだな

迅「氷月?」

『何じゃ?』

店員さんがどこかへ行けば、隣の悠一が顔を覗き込んで心配そうに見ていた

迅「どうかしたの?」

『いや、何でもなか』

迅「そう...」

『あ、そうじゃ』

迅「?」

『ありがとうな、悠一』

迅「!?」

また頬を赤らめた悠一は周りを見ている

『帰ったら、詫びは幾らでも受けたるよ』



携帯を所持して1日目

昨日は買いに行って軽く使い方を習った

その後、悠一は何故か我の布団で寝ており

今でも現在進行形で夢の中だ

起こすのも可愛そうに思い

購入したての携帯と自分の財布を持って部屋を出た

勿論、本部の中でうろついていると書置きを残して

そして廊下を歩いて、ある扉の前で止まり、ノックする

?「入っていいぞー」

?「おい」

『失礼しますじゃよー』

と中に入る

机で書き物をしている忍田さんに

ソファでくつろいでいる林藤さんがいた

『お、2つ達成』

林藤「なーにしてんだ?」

『携帯の電話帳に増員を図っておるのじゃ』

林藤「ついに買ったか」

はぁ...とため息を吐く忍田さんをガン無視に近い状態で林藤さんの前のソファに座り携帯を取り出した

林藤「迅が選んだな?」

『よく知っとるのう』

林藤「それの色違いだからな」

白いアイフォンに対し、我のは黒いアイフォン

汚れれば目立ってしまうが、まあ我が持つには似合って居るじゃろう

林藤「ほら」

『?』

林藤「アナログ入力と行こうじゃないか。忍田のも入れとくぞー」

忍田「はぁ...、頼むから騒がないでくれ」

忍田さんは本当に仕事しているようだ

それに比べ、林藤さんは

『?、2つも入力するのか?』

忍田「っ!」

林藤「俺と忍田の分だ」

忍田「林藤!いつの間に!」

どうやらくすねてたようだ

林藤さんの携帯に自分の番号や名前などを入れる

林藤「氷月」

『?』

入力画面から目を逸らさず、それなりに画面のキーを叩く

林藤「お前、生きるんだよな?」

『......』

先ほどまでの笑顔は何処にもない

真剣な表情と普段より低い声がしっかりと届く

一瞬だけ手元が止まったが何も問題はない

そのまま普通に入力を再開する

林藤「迅はああ見えて結構精神的な問題を抱えている。今は「氷月が居る」と言う事だけで生きてると言ってもいいだろう」

『アイツはそんな軟じゃなか。それに、我に何かあれば「恨め」って言ってあるし...』

林藤「それじゃあお前らは前に進めない」

『「進むのを諦めた」と言えばどうなるんじゃ?』

林藤さんの電話帳に自身の連絡先が追加されテーブルに置く

そしてテーブルの上で待ちぼうけを食らっていた忍田さんの携帯に連絡先を入力する

林藤「迅まで殺す気か?」

『まさか。悠一には仲間がおるじゃろ。沢山、な』

林藤「氷月の事を家族に思ってもか?」

『っ、我は幸せになる資格なんて何処にもなか。悠一を幸せにするために生きるだけじゃ』
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