大好きな... old

□変化
1ページ/5ページ

白川sid

「あと数日かすればギプスが取れますからね」

『分かりました』

ギプスが取れるまでは病院内での生活であった

他の皆は普通に学校へ行っているだろう

3日間目が覚めなかったようだ

たまたま点滴を変えに来ていた看護師が僕が目覚めた事を医師に報告しに行ったらしい

体を動かせば右腕が重く、見れば分厚い物で固定されていた

アレだけ強力な物を貰っておいてヒビが入った程度の物

どれだけ自分が丈夫なのだろうか

ベットの上の生活とまでは行かない

ベットを抜け出せば廊下を歩き回り、体力が落ちないように軽いトレーニング的な事をした

正直、「回復するのが患者の仕事」と言うが、生憎自分にはそんな仕事は似合わない

今日で2週間、授業はどれだけ進んでいるのだろうか

時計を見れば5時になっており、それでもまだまだ日は昇っていた

梅雨の時期も過ぎた事で普通に睡眠も取れるようになっていた

?「氷月、入るよー」

『はい』

ベットに座りながら読書をしていた所、学校の授業が終わった優真は毎日のように来ている

優真は病室へ入るとベットの隣にある椅子に腰かけた

風上「具合は?」

『あと数日でギプスが取れるようですよ』

風上「マジで!?」

『はい、ですが、テニスはまだ出来ません』

風上「よし!今の内に強くなって、氷月にギャフンと言わせてやる!」

椅子から落ちるのではないかと思うくらいに元気よくガッツポーズをした



「今日から復帰するが、まだ怪我の調子はあまりよくない。皆、くれぐれも気を付けるように」

「「はい!」」

あれから更に1週間が過ぎ、ギプスが取れて楽になった

まだ首から下げている状態ではあるが、クラスの皆に迷惑を掛けてしまった事には間違いはない

柳「退院おめでとう、氷月」

『ありがとうございます』

柳「ああ。それよりも」

『?、ああ、これですか?地毛ですよ』

柳「ほう...」

退院中に色が抜けてきたので、そのまま元の色に、水色の髪へ戻したのだ

クラスの皆が注目していたのはこれのせいか

柳「似あっているぞ」

『ありがとうございます』

この髪の色を見ても何も思わないのか

まあ、銀や赤や蒼がいるから、今更か



昼になった

1人になりたくて屋上へ向かっている途中に

藤「よ」

『こんにちは』

3週間ぶりの上司(笑)と再会

藤「話があるんだけど」

『当分、お仕事の方は無理です。分かると思いますが』

藤「それは知ってる。当分は休暇だって事を伝えに来たんだ」

『休暇、ですか?』

以外だった、藤岡先生の上司が僕に休暇を与えるなんて

藤「猫の手も借りたいのはやまやま。人手も少ないし、何よりも実力者がいない。それに比べて君は...」

『先生』

藤「...そうだな。取りあえず、休暇だ。しっかり治せよ」

『分かりました』

屋上へ着けば、夏の暑い日差しと爽やかな風が体を通った

フェンスに近づいて街を見下ろす

この風景は意外と好きだったりする

それよりも

『何時まで隠れているつもりですか?仁王君』

?「...はぁ、敵わんのう」

振り返れば日光に反射する綺麗な銀を靡かせた詐欺師が立っていた

仁「退院、おめでとさん」

『ありがとうございます。柳君にも言われました』

仁「そうか、一緒のクラスじゃったな」

『はい』

彼は静かに歩み寄るとフェンスに背を預け、空を見上げた

仁「綺麗な髪じゃな。地毛か?」

『はい、そうなります』

仁「なんでそんな綺麗な髪を染めておったんじゃ?」

『此方の諸事情です』

仁「ほぅ...」

猫目をさらに細めニヒルに口元が弧を描けば、此方を見ていた

『あの、御迷惑をお掛けしました。後で皆さんにも謝りますが、1番迷惑を掛けたのは仁王君だと思いましたので、先に少しだけ』

仁「お前さん、こりたか?」

『こりたか?と聞かれればこりました。けれど、僕はそれでも』

それでも、それでも

それでも、罪滅ぼしは終わってないから

『これから続ける事になるでしょう』

射貫かれそうな程、強く真剣な眼差しが此方を見る

仁「氷月、何を怖がっておるんじゃ?」

『...!』

何故、何故そんな事を聞くんだ

仁「何に囚われておるんじゃ?」

とら、われて、いる...?

僕が、囚われ、いる?

仁「何が怖いんじゃ?何に怯えておるんじゃ?」

どうして、どうしてそんな事を聞いて...!

仁「何を、拒んでおるんじゃ?」

真剣な瞳がすぐ近くにあり、彼は私の目と鼻の先に来ていた

心臓を鷲掴みされた気分だ
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ