大好きな... old

□優しさ
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白川sid

風上「てか、何にしたの?」

仁「何にしたんじゃ?」

『バスケです』

何故かこの2人は毎日僕の部屋へ訪れるのだろうか?

幸村君とテニスをした次の日から毎日のように帰りに現れる

優真は分かるとして、何故仁王君まで

それが1週間程続けば、正直どうでもよくなった

そして、来週の月曜日から2日間球技大会が行われる

切原君と優真は大いに盛り上がり、仁王君は面倒だと重いため息を付いていた

幸村君の指示(?)で負けは許されないと言う

僕にとって勝敗なんてのは本当に一番どうでもいいが

言われたならやらなければならない

男子はバレーとサッカー

女子はバスケとソフトボール

テニスの関係で言えばソフトボールの方が有利だが、右腕に負担が掛かると柳君が言ってくれたのでバスケにした

まあ、どっちでもいいけど

冷蔵庫から冷えた麦茶を3人分と小皿にミルクを注ぐ

風上「いい、痛いっ!痛いってば!!」

仁「もう少し丁寧に扱うナリ」

『......』

お盆に全てを乗っけては、リビングで子猫達に遊ばれている2人の元へ向かう

風上の方は完全にブランに遊ばれている

一方、仁王君はノワールと遊んでいるに近い形だな

テーブルにはコップを、ちゃぶ台には小皿を並べる

子猫達は自分の食事が来た事を感じ、ソファーに飛び乗っては器用にちゃぶ台へと飛び

小皿の中のミルクを飲み始めた

2人は椅子に腰かけると、優真は麦茶を一気飲みした

風上「...しつけがなってないんじゃないの?」

『優真より素直な性格なので。嫌いな相手とは遊びたくないんでしょう』

風上「ガーン!」

めり込むようにテーブルに勢いよく額をぶつけると風上は「痛い...」と呟いたまま動かなくなった

仁「お前さん、性格良いのか悪いのか?」

『悪いと思いますよ』

仁「自分で言うんか」

『はい』

呆れた表情で麦茶を啜る仁王君

僕はそのまま寝室に入って制服から私服に着替えた

風上「いーたーーいーーーっ!!!」

『?』

制服をハンガーに掛けていると優真の断末魔のようなものが聞こえた

クローゼットの中にしっかりと制服を掛けてリビングに戻ると

ノワールとブランが優真の頬にパンチを繰り広げていた

仁「クックックッ。何を遊ばれとるんじゃ、優真」

風上「笑ってないで!どけてくださいよ!」

仁「無理じゃ、腹が痛い」

『はぁ...』

ノワールが後頭部に乗っているために顔を上げる事の出来ない優真はブランに完全に舐められていた

2つの意味で

風上「痛いっ!!」

仁「うおっ!」

『!』

優真のストレスが溜まった事により、後頭部に乗っていたノワールは宙を舞った

『ノワール!』

ちゃぶ台の方へと飛んでいった体をキャッチするために向かうが、ソファーが邪魔をして進めない

このままではあの小さな体に大きな衝撃が渡ってしまう

とっさに駆け出した足はソファーを乗り越えた所でノワールを確保する事が出来たが

さて、どうしようか

このままではベランダの窓ガラスに向かって一直線だ

まあいいや、ノワールが無傷であれば

そのまま派手な音が部屋に鳴り響いた



?「...!...っ!氷月っ!」

『!』

呼ばれて意識が覚醒する

あれ、自分は...

仁「大丈夫か!?」

血相を変えた仁王君が僕の目の前で必死に呼びかけていた

『ええ、なんとか...』

仁「そんな訳ないじゃろうに」

『え?』

片目が赤い視界に染まると頬を伝って白いパーカーに赤い染みを作って行く

仁王君は僕の前髪を上げると、困ったような、いや苦しそうな表情へと変えた

仁「切れとるな。病院に行くぜよ」

『あの、ノワールは?』

仁「今は自分の事を心配するんじゃ。ノワールは無傷ナリ、ケージに2匹とも入れといたぜよ」

『ありがとうございます』



「じゃあ、また2日後に見せに来て頂戴ね」

「お大事に」

『ありがとうございました』

診察室の部屋を出て、重くなった頭に触れる

ピリッと痛みが走ると、ため息しか出なくなる

結局、大きな病院へ優真の父親に連れられて来た

額の一部に切り傷があり、それを縫ってガーゼで止めている

それ以外には特に外傷はなかったようだ

明日から学校も休みだし、部活も体育館や運動場の関係でなかったので

ある意味よかったと思う

部屋の中で自分は何をしてるんだ
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