ただの冒険

□ジョーの特訓
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夜はそのまま一緒に街へ戻った

館の前に立っていた兵士にジョーがガブリンソウを見つけたと報告すれば

怪訝な表情をしたままその場から立ち去って行った

僕は泊まっている宿へ戻り、彼は別の所で泊まっているとそこで別れた






次の朝、宿で軽い食事をしながら今日は何をしようかと考えていればジョーがやって来た

彼は僕を訓練させ、本当にハンターになって貰いたいようだ

どちらにしろ特訓など訓練など、強くなるのであればその申し出を断る事はない

朝ごはんを食べ終わり、朝日が真上に来た頃

昨日とは別の場所へ向かって行った

そこには大きな湖があり、その湖の真ん中には女神の像があった

ジョー「ここはキルギム湖。女神像を祭っていて、毎年ハンター試験が開催される場所なんだ」

こんなに広い場所でやるんだ、当日はかなりの人数が来るんだな

ジョー「ここでなら良い特訓になるはずさ。早速はじめよう!」

何処か気合の入っているジョーはリュックサックを下ろした

彼の後ろに付いて行けば、また見慣れないモンスターが見えた

ジョー「あれはノービスバード。ここにしかいないモンスターだよ」

人のサイズよりも一回り小さい鳥だ

茶色の体と鋭い爪を持ち合わせている

あの足の爪で攻撃されたら絶対に怪我をするだろう

背負っている剣をとり、何時もより距離を開けて構えを取る

此方の気配に気づいたノービスバードは羽を器用に羽ばたかせ、空中で止まっていた

相手は空中戦を得意とするモンスターだ

昨日戦ったモンスターとは比べ物にならないくらいに攻撃は通りにくいだろう

腰を下げて相手の行動をしっかりと目で追って行く

向こうは動かないのだろうか?

そう思った瞬間、ノービスバードは何度か大きく羽ばたくと高度を上げて行った

何をするのか考えていると、ある高度で止まり、頭を下にし此方に急降下してきた

『!』

想像以上の速さでくちばしを此方に向けていたと思ったら

僕の頭上で態勢を変え、頭を上にして足の爪を突き出してきた

『っ!』

なんとか剣で受け止めるも、急降下の威力がそのまま腕に伝わり、少しの悲鳴を上げた

何とかして振り払うと、ノービスバードは今度は周りを飛び回り始めた

『......』

羽を一定に保ち、まるで囲いに囲まれている感じがする

そして再び高度と上げると急降下し足の爪を突き立てて来る

何度も同じ手は効かない

立っている位置をずらすとノービスバードは少しだけ威力を弱めるように羽を羽ばたかせる

今だ!

スピードが死んだ後、下向きの力が上向きの力に変わるのには時間が掛かる為

ある程度その場で留まる必要がある

剣を下から振り上げる形でノービスバードの腹を深く斬った

大きなダメージを与えたが、向こうはまだ幸いにも飛んでいると言う状態だ

ならば、最後に

スキルを使い、弱ったノービスバードに一撃を叩き込んだ

ノービスバードは地面に落ちると、羽をピクピクを痙攣しながら、大地に溶け込むように消えて行った

ジョー「おお!やっぱり俺の見込んだ通り」

満足な笑みを浮かべながら遠くで見ていたジョーが近づいて来た

ジョー「君の腕なら合格間違いナシだ!」

背負っていたリュックサックを下ろすと、ガサゴソを何かを探していた

そして、ある物を取り出すと僕にそれを渡して来た

ジョー「これは俺からのプレゼント、試験できっと役に立つよ」

ジョーから貰ったのは弓だった

だが、資金の関係や持ち物の関係により弓なんて一度も使った事がない

ジョー「明日が試験だからね。頑張らないと」

『え、明日なの?』

ジョー「あれ?言ってなかったっけ?」

『......』

ジョー「ご、ごめん!言い忘れてた!」

マジか、明日がそのハンター試験だなんて

ジョー「でも君の腕なら大丈夫だよ!しっかりやって行こう!」

『はぁ...、分かったよ』

剣と弓を交互に使いながらノービスバードを狩っていった

最初は弦を引くのに苦労したが、今では真っ直ぐと飛ぶようになった

意外とこの生活は楽しいかもしれない

旅なんて忘れて、此処で本当に暮らすのもありだな






弓を使いこなせ
 

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