世界が違う

□玉狛支部
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あれからまた1年経ち、迅は今A級へと戻った

それを知らされた玉狛第二は毎日訓練に励み

夜遅くまで全力を使っていた

迅「あー、ただいま」

三雲「あ、おかえりなさい。迅さん」

空閑「おかえり、迅さん」

玉狛のリビングに戻ってきた迅はソファーで何やら考え事をしている三雲と空閑がいた

迅「よ、何してんだ?」

三雲「空閑の勉強です」

空閑「あ、迅さんも教えてよ。俺、こっちの事全然分からないんだ」

迅「...いや、その点数はそれ以前の問題だろ」

机の上に置かれた空閑のテストの点数は全てが50点未満であり

とてもではないが、高校に受かるレベルではないと思った

空閑「フム、日本の教育は厳しいな」

迅「中学の卒業は保証できても、高校の入学は出来ないな」

空閑「そうなのか?」

三雲「日本には義務教育って言うのがあって、中学卒業までは成績が悪かろうが不登校だろうが、例外がなければ卒業出来るんだ」

空閑「ほー、すごいな」

迅「その点数だと受験は難しいぞ。ま、ボーダーに就職するのも1つの手だが、あまりお勧めはしないよ。若い時にいろんな事をした方がいいし、交友関係も広い方が後々いい事につながるぞ」

宇佐美「迅さん、ジジクサイよ」

迅「お、宇佐美と千佳ちゃん」

雨取「こんばんわ迅さん」

迅は思った

こんなにも楽しい所なのに

どうして白川さんは「旅行」なんて行ったのだろうか

それを知っているのは城戸さん達だけで、ボスからも何も教えてはくれない



すっかり体調のよくなった氷月は屋上で夜空を見上げていた

雲1つないその夜空には満点の星空が存在し、月が優しく出迎えてくれているようだ

キィ...、と少々不気味な音を立て、屋上の扉が開かれた

その向こう側から来たのはカップを2つ手にする迅だった

『なんじゃ?何か用なんか?』

張り付いた笑みに違和感がなくなり、氷月は迅を見ずに空を見るだけだった

そんな迅は気にも止めず体を屋上へと滑り込ませると

冬の風がもたらす乾燥した冷たい空気が体に纏わりついていた

その寒さに身震いをしながらも、その人物の隣へ行くとカップを差し出した

『ん、ありがとさん』

そう言って氷月は迅の頭に手を一瞬だけ乗せる

カップの中にはハッキリとした湯気を立たせるブッラクコーヒーがあり

氷月は2回ほどフーっと息を掛けると、ズルズルと言う汚い音を立てて一口飲み込んだ

『不安じゃな?』

迅「(うん)」

声の出ない迅は肯定の意味で首を縦に振り、否定の時は首を横に振る

『声が出んのは不安じゃと思うが、大丈夫。何時か戻るし、戻らんかったら我が何とかするぞよ』

青い瞳が迅の不安そうな顔を捉える

迅はその瞳に見つめられていると安心と羞恥を覚える様になり

初めのうちは安心だったが、今では羞恥に変わっていた

迅は手の中に収めている少しミルクが入ったコーヒーに手をつけ、飲み込む

体の内側が温まるのを感じながら氷月との距離を縮めた

『寒いんなら中に居ればええじゃろ?』

張り付いた笑みで苦笑を零しながら

氷月は青い上着を迅の肩に乗せる

迅「(白川さんが、寒いんじゃ...)」

『我はええよ。ガキンチョが風邪引かんかったらな』

氷月は迅の口を見て言う

声の出ない迅にとっては一番話しやすい相手

その理由としてはペンも何もいらないから

氷月は相手の口の動きで何を言っているのか理解できるという

だからこそ、迅は余計に氷月と言う沼に溺れていた

迅「(中に行こう?レイジさんがデザート作ったって)」

『そうじゃな。おん、そうするか』

立ちあがった氷月を見た迅も釣られるように立ちあがる

扉を前にした氷月はドアノブに手を掛けて止まる

迅「?」

疑問符を頭の浮かべた迅はその様子を見ようと顔を覗かせる

振り向いた氷月の表情は悲しそうな笑みを浮かべ

『恨めガキンチョ。お前さんを壊すのは我じゃが、お前さんを直すのはお前さんじゃ』

迅「(何を言って...)」

『ほれ、行くか』

時々言われるその言葉の意味を迅は理解出来なかった

錆ついた鉄製の扉を開け、中に入ると外に居る時とは違う別の空気が出迎える

それは湿気を帯びた暖かい空気だ

階段を居り、リビングへ

小南「遅いじゃないのよ!」

既にデザートに噛みついている小南が迅と氷月を睨みながら言う

木崎「説得力がないぞ。俺はちゃんと待てと言ったはずだ」

『まるで木崎のペットじゃのう、ガキンチョ2号』

小南「ぺ、ペットッ!?」
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