世界が違う

□玉狛支部
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白川sid



太刀川「俺、ボーダーに入ろうと思うんだ」

『そうなんか?またどうしてじゃ?』

太刀川「あなたの隣に立ちたいんだ!」

『え?』

眠そうな格子模様の目を輝かせ、癖のある毛ががフワフワと風に揺れる

最上さんが亡くなり、葬式を挙げてから3ヶ月

季節は変わり春となり、そこら中にピンクの花びらが舞っていた

そんな中、ボーダーが買い取ったと言ってもいいこの警戒区域内で1人の男子中学生が近界民に襲われており

我は何時もの調子で仕事を全うした

しかし、彼は近界民に臆するどころか

我の戦闘を目の前にして瞳がキラキラと輝いていた

男の名前は太刀川慶

我的には、ガキンチョ3号じゃ

我行きつけの誰も知らない警戒区域に近い小さな公園で休憩をしていると、ガキンチョ3号と再開し

今、こうやって話をしている所だ

『我の隣に立つって、もっと他にも目的があるじゃろ?我なんかの隣に立ってもおもろい事なーんもないぞよ』

太刀川「俺はあなたの技とか見たいんだ。そんで何時か対戦して!」

『困ったのう...』

こんな純粋な目で我を見た人は久しぶりだ

一番最後に見たこのような目は、幼い頃のガキンチョ1号、迅だけ

太刀川「どうやったらボーダーに入れる?」

『ん?今は無理じゃな。ちと忙しい。じゃが1年先に勧誘が始まる』

太刀川「マジか!」

『おん。じゃが入隊試験があるかもしれん。我は上層部のヤツじゃないから詳しい事はわからんよ』

腕時計を見れば、時刻は既に任務時間開始の5分前

『ん。我、これから任務じゃ。ガキンチョ3号は早よう帰りな』

太刀川「また来るのか?」

『んー、これからもっと忙しくなるから当分これん。じゃあの』

太刀川「バイバイ!」

公園から出て生身のまま警戒区域に入る

針金で区切られたギリギリの所に、太刀川はまだおり

我は小さく手を振ると

パァ!と輝いた表情で大きく手を振ってから家のある方角へと走って行った

『ん、ちゃんと言う事を聞くガキンチョじゃな』

此処まで素直だと逆に可愛いと思うが、裏では何を考えているのか分からないほど純粋だ

?「......」

『なんじゃ、ガキンチョ1号』

後ろを見ている間に、今日の防衛任務でのパートナーの迅が袖を引っ張っていた

その表情は少しムスッとしており、これは拗ねている証拠だ

我とお揃いの青いジャージに袖を通している

その袖には玉狛の印が入っていた

『ほれ、行くぞよ』

そう言って頭を撫でると嬉しそうな表情を零す

ガキンチョの機嫌の取り方は分からんな

ボーダーの攻撃手武器、弧月を腰に1つぶら下げている青いジャージを着た迅は我の後ろを付いて来る

ほんと、我と同じような格好になったのう

くつくつと喉で笑うと背後にいた迅は目の前に来て

迅「(どうしたの?)」

と口を大きくしっかりと開けて聞いてくる

『ん?我もガキンチョ1号も玉狛属性に染まったと思ってな』

迅「(玉狛属性?)」

『何時か分かるさ』

空を見上げた時、我の体に軽い衝撃が走り誰かに包まれた

『!』

その行動に驚き、彼の顔を見れば悲しそうな表情が我の顔をしっかりと見る

その青色の目には我のヘラヘラとした

とても他人には見せられないほど無理な笑みをしている

それでも、コイツらの前では我は笑っておらんといかん

『どうしたんじゃ?』

迅「(行かないで...)」

『...防衛任務じゃよ。大丈夫、我を恨め。お前さんを壊すのは我じゃから、恨めよ』

迅「(嫌だ)」

何時からだっけ、口の動きと表情だけで相手の気持ちが理解出来る様になったのは

けど、そんな事、今は関係ない

迅は人と話すとき絶対にメモ用紙とペンを持ち運んでいる

我と話す時はいらんと言ってあるし、我は迅の言う事が分かる

けど、その気持ちには向き合えない

迅の視た未来の我は、此処におらんから

『ほれ、任務じゃ。今日は夜の9時まで。これから5時間ぶっとうしじゃぞ』

背中をトントンと優しく叩くと迅は離れて行くも、手を繋がれる

寂しい時、辛い時、苦しい時

負の感情が少しでも表に出た時にする微かな行動だ

あの頃はまだ小さかったのに、今では一緒かそれよりも少し上の身長

きっとまだ背は伸びるだろうな

迅「?」

『何でもなか。身長伸びたってだけじゃよ』

迅「(子供扱い?)」

『ぬーん、間違っておらん解釈じゃな』

迅「(酷いなー)」

『ま、どちらにしろガキンチョなのは変わらんよ。さて、我の未来を視て門の場所を教えてくれ。我らの任務は始まったばかりじゃからな』

迅から視えた未来

そこには警戒区域内のど真ん中に大きな台形の形をした建物が立っていた

その中をボーダーの職員や隊員等が出入りするためにそこが本拠点になるのだろう

我はそこの入れるのかな?
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