世界が違う

□空閑遊真の過去
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空閑sid



夜の見回りのために城壁の一番高く、射線が通らない所で周りの動きを見ていた

レプリカが小型のレプリカを飛ばし辺りを警戒

レプリカ「遊真。東で小型の門が開いた」

空閑「了解」

近くにいる兵士に一声掛け、俺はレプリカが言った場所へと案内されながら黒トリガーを発動させた

?「ぬあー...、此処も違うな」

空閑「!」

門が開いた場所は森の開けている部分であり、フードを被った怪しい人物は声を上げていた

?「うーむ、さて、次の行き先を考えんとな」

怪しい人は俺に気付いているのか分からないが、背を向けたままで辺りを警戒している様子はなかった

レプリカ「どうする?遊真」

空閑「こんな時間にこんな所にいるなんて怪しいし、一応仕掛けるよ。レプリカ」

レプリカ「承知した」

相手の様子をしっかりと観察した

腰には剣が2本携えてあり、腰までしかないマントはなんの意味があるのか分からなかった

?「さて?お前さんは誰じゃ?」

空閑「!」

?「隠れておってもええが、我を見逃してくれるんか?」

その言葉で完全に俺の存在がバレている事が分かった

大人しく茂みから姿を現すと、その人物は此方に体を向けた

空閑「ねえ、そこの転がっている人、仲間じゃないの?」

?「我は誰の仲間でもなかよ。我は我だけじゃ」

空閑「ふーん」

俺の副作用は相手の目を見ないと分からない

フードによって見えている部分は口だけ

角度的に鼻まで見えるかもしれないが月光によるフードの陰で見えなかった

?「我は中立じゃ。何処の国も味方にしん。我が味方をするんは「日本」と言う国だけじゃ」

空閑「じゃあその「日本」って所から来たの?」

?「うーむ、まあ、そんな感じじゃ。そして我は近界を旅しておる旅人じゃ。今は「日本」へ帰るために国を転々と移動しておる」

空閑「じゃあ、前の国はスピンテール?」

?「んじゃ、此処は今スピンテールと戦争しておるカルワリアじゃな?」

空閑「まあね」

?「フムフム、納得じゃ」

その人は俺の聞きなれない言葉を使っているけど、幸いにも通じない訳ではない

『我は白川。白川氷月じゃ。敵でも味方でもなかか』

空閑「ふむ、俺は空閑遊真」

『この人たち、どうすればええ?ラッドの門に入って来たら急に襲われてな、とりあえずはトリオン体を解除して気絶させといた』

木には大人の男性が4人ほどロープで縛られており

そのロープの結び方は逃げられないように縛ってあった

空閑「本当に中立なんだね」

『我は旅人じゃからな』

ケラケラと笑いながらフードに手を伸ばし、それを外す

空閑「!」

月の光に反射する髪と穏やかに微笑むその表情が綺麗だと思った

『さて、コイツらはどうすればええ?』

空閑「あれ?中立じゃないの?」

『此処に置いて行ってもええ事はないからな。トリガーも没収したからただの人間じゃ』



空閑「って感じで出会った」

三雲「攻撃しようとしたのか...」

空閑「怪しかったし、殺れるまえに殺れだぞ。修」

俺が話している最中にレイジさんのデザートは食べ終わり、皆がテーブルに向って椅子に座っていた

陽太郎は既にソファーで寝ており、雷神丸も陽太郎の頭元で寝ている

迅さんだけが今にも泣きだしそうな顔で俺の話を真剣に聞いている

どうやらやっと迅さんに少しのお礼が出来そうだ

林藤「ま、なんだ。氷月はその戦争に加担したのか?」

空閑「2週間だけね」

小南「なら他は?」

空閑「ラッドを使って他の国に行ったよ」

木崎「必要最低限か、まあアイツらしいな」

あの時の悲しそうな目は今でも忘れていない

今の迅さんみたいに今にも泣きだしそうな顔をしていた

小南「それで?どうやって副作用に気づいたの?」

空閑「ああ、尋問の時だよ。2週間居る代わりに此方の協力をしてもらってね。シラカワさんは特に前線と尋問を任せられていたよ」

林藤「かなりキツイ事をやらしたな」

空閑「俺もやめておいた方がいいって言ったけど「協力しないとな」ってすぐさま引き受けちゃったんだ」

シラカワさんの「過去視」があれば敵国から捕まえた兵士を尋問しなくてもある程度の情報は捕まえる事が出来る

尋問に時間を割く時間を最小限に抑えたかったんだろう

迅「それで?」

迅さんはもっと話が聞きたいようだ

空閑「そうだったそうだった」
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