世界が違う

□最後の姿
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迅sid



小南「てか迅。もうそろそろ話してよ」

迅「ん?何を?」

小南「白川さんがいなくなった時の事」

今日の夜は長い

遊真の一言で俺らの壁が殆ど崩れた

けど何時かは言わなければならない事だ

迅「いいよ。けど、俺も結構キツイんだよね」

小南「そんなの知ってるわよ」

木崎「無理に話さなくてもいいぞ、迅」

迅「...いや、甘えるのはやめにするよ」



バックワームの試運転を兼ねながら、俺と白川さんは一緒に行動した

門が開けば、そこから出てくる敵を一掃する

バックワームを展開しているときは

もう1本の弧月が使えないために1本で突っ込んでいく

何時も2本の弧月を振るう姿を見ているからこそ、1本の時は新鮮に思える

『此方白川。敵の一掃が完了ぞよ』

沢村【トリオン反応はありませんので、休憩を挟みながら防衛任務を続行してください】

『了解じゃけん』

イヤホンから流れる2人の会話を聞きつつ、俺は辺りを警戒しながら白川さんの未来を視た

やはり変わらない

知らない土地の風景と知らない人と戦っている

そんな映像が濃くて、ハッキリしていて

『なあガキンチョ1号』

迅「?」

短足の近界民の上から話しかけられる

その視線は秋晴れで、雲1つない快晴だ

『我を憎んで、嫌ってくれんか?』

迅「(どうして?)」

何時もの白川さんじゃない

今日は朝から胸騒ぎがしている

だからこそ、今日はずっと俺の目の届く範囲にいるし

人気のない場所では手を繋いでいる

『「何となく」じゃない。これはお前さんの未来に関わる事なんじゃよ』

地面から近界民へジャンプし、正面に立つ

白川さんの表情はやっぱりと言うか、なんか何時も以上に無理をしている

苦しそうで、寂しそうな表情だ

『過去なんて変えられない。これは当たり前の事だし、これから変えられない未来もある。我はその未来に抗う事を諦める』

迅「!」

その言葉を聞いた時、俺の中で大きな不安と恐怖が沸き起こる

その未来は、俺の視た白川さんの未来なのだろうか?

もし、それに抗う事をやめるのであれば

白川さんは俺の目も届かない所へ行ってしまうのだろう

それだけは、嫌だ

今ここで白川さんを失ったら、俺は俺で居られなく気がする

いや気がするんじゃない、これは確信に近いだろう

『猫たちの世話は大丈夫じゃろ?我の唯一の家族なんじゃ、頼んだぞよ、悠一』

初めて呼んで貰った名前

嬉しいのに、嬉しいのに、悲しい

まるで、最後みたいな言い方が、これからを物語っているみたいで

【門発生!門発生!】

迅「(近界民!)」

『来たな』

急なサイレンが響き渡る中

本部とは反対方向に開けられた黒い大きな門

そこからは何時もの白い近界民ではないく

ローブを羽織ったような人型の近界民が現れた

「ん、此処が玄界か。悪くないな」

ソイツは辺りを見渡しながらフードを脱ぐと、金の短髪と切れ長い緑の瞳を此方に向けた

『なんじゃお前さんは。迷子か?』

ヘラヘラとした表情で緊張感のない言葉を選び

相手を見定めるような感じだ

「お前が此処の戦士か?」

『そんな大層なもんじゃなかと。我は人々を守る救助隊じゃよ』

「俺の国では戦う武器を持つ者、全てが戦士だ」

『なら、我はお前さんで言う戦士か?』

「そうなるな」

声は男性によりも若干高めで、よく見れば背も小さいし体格もそこまでない

そうだ、まるで、子供のようだ

『此処にはなんの用事じゃ?』

「情報が欲しくて来たに決まっているだろう。此処には戦わない人間がいる。ソイツらを取引してもらう」

『逆は?』

「...お前に言う必要はない」

『なら、交渉決裂じゃ』

「!」

ソイツは白川さんの言葉に素直に反応を返す

まるで信じられない、と言った表情だ

『市民を守るために戦っておるのに、市民を取引する事は出来ん。お前さんの目的は「あるかもしれない黒トリガーの回収」と「実力者の調達」じゃろ?』

「貴様、何処の者だ!」

迅「(なんで、分かった...)」

ニヤリと白川さんが微笑むと

相手は腰のホルダーにある銃に手を伸ばし、此方に向ける

「もう一度言う。取引は...」

『帰って伝えろ。我々は市民を売らん、とな』

「お前では話にならん。此処の長を出せ!」

『断る。我を殺してから、進め』

「...面白い、いいだろう。俺も戦闘は大好物なんだ」

『それはええのう。なら、本気で行くか。迅、行くぞ』

迅「(待って!)」

行こうとする白川さんの手首を掴み、その場に留まらせる
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