世界が違う

□手の中の物
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迅「ちょっと待って?迷子かな?」

「!」

先回りをし、エスクードで道を塞ぐ

相手の背後には風間さんが立っており

いわゆる挟み撃ちの状態だ

灰色のローブ、弧を描くような口元

間違いない、俺が視た未来に居た人だ

走っていた足を緩めると俺と風間さんが若干見えるように体を横にした

風間「大人しくトリガーを解除し、降伏しろ。命の保証はしてやる」

返答はない

返事や行動次第ではそのトリオン体を破壊しなければならない

だがこの警戒区域内でトリオン体を解けば面倒な事になる

迅「どう?沢村さん。トリガー反応は?」

沢村【ダメね、拾ってない。迅君と風間君しかないよ】

2階建ての家と俺達に周囲を囲まれた相手は俺達を交互に見ると

次の瞬間、天高くにジャンプをして屋根に飛び乗った

風間「強行手段だな。迅、こればかりは譲れないぞ」

迅「分かっていますよ。相手は逃亡をしようとしている、それは何らかの意味があるからでしょうね」

エスクードを解除し、風間さんはカメレオンで相手を追い

俺も走る

東【迅、風間、此処から先に行った所で俺達が張っている。誘いこめ】

風間【了解】

迅「了解」

米屋【迅さん、俺達もいるんでさっさと終わらせましょうよ】

迅「三輪隊だな。奈良坂と古寺は?」

三輪【既に配置済みだ。俺もそこにいる】

迅「はいはい」

そして

「!」

開けた場所には

拳銃と弧月を持った秀二に、槍型弧月を構えている陽介がおり

弧月を片手に東隊の小荒井と奥寺も戦闘態勢に入っていた

射線が通りまくりのこの広場には東さん、奈良坂、古寺の優秀な狙撃手が既に待機している状態だ

俺の前を走っていた人物はズズッと足元を滑らせながら急ブレーキを掛けたように止まるのを確認し

俺も広場の入口に止まると隣に風間さんが立った

三輪「降伏しろ近界民!」

攻撃手が6人、狙撃手が3人

太刀川さんクラスでもキツイこの状況下で相手はどするのか

三輪「するのか?」

「......」

首を横に、振った

これはもう、戦闘しトリオン体を解かないと行けない



一体、どうなっているのだろうか?

狙撃組の弾は当たらず、相手は俺達の攻撃を全て避けきっている

唯一動きがあったとすれば奥寺が弧月を取られ

小荒井を切られた後に奥寺も切られると言う前代未聞の事が起きた

奥寺が緊急脱出すると、弧月も消え相手の手の中の武器はなくなるも

此方の攻撃が一切当たらない事には変わりなかった

米屋「おいおい、どうなってんだよ」

槍を構えなおした陽介からは余裕の笑みも消え

そこの隊長である秀二はもどかしさからもイライラで表情が強張っていた

風間「太刀川並の戦闘力か、経験の差か」

4方向をぐるりを囲み、風間さんが冷静な分析をする

迅「目的は?」

俺にも当然焦りが生まれる、その理由は攻撃が当たらない事だ

どれだけ未来を視ても、相手に掠り傷さえ与えられない

唯一分かっている情報は、相手がトリオン体である事だけ

「...写真」

「「「「!!!」」」

目的が、写真?

三輪「ふざけるな!」

拳銃から鉛弾が打たれる

華麗にとまでは行かないものの、簡単に避けると相手は三輪との距離を詰める

また避けられるんじゃ...!

三輪「!」

三輪が弧月を振るった時、相手も弧月のような剣を持っていた

ガキィン!と甲高い音が鳴る

そして、掠り傷のような傷を何箇所も当てられる

「ラスト...」

相手は三輪の首を狙って振り下ろそうとして

?「させるかよ...」

「!」

空から降ってきた黒い服を纏った人物が弧月でそれをはじく

風間「遅いぞ、太刀川」

カメレオンで姿を消していた風間さんが待ったなしで攻撃を仕掛けるも

体制の崩れた相手は地面に手を着きそのまま天へと飛びスコーピオンを交わした

太刀川「スゲーな、あっこから避けんのか」

風間「感心している場合じゃないぞ。相手はかなり厄介だ」

太刀川さんの前でしゃがんでいる風間さんが冷静なツッコミを入れるのを見て

俺は2人の傍に行った

太刀川「随分手を焼いているようだな」

迅「俺の副作用、殆ど効かないんだよねー。これが」

風間「使えんな」

迅「酷い」

と何時ものノリに戻った所で相手は周囲を見渡すことなく立ち上がり

?「変化炸裂弾(トマホーク)!」

背後から聞こえた声と同時に、辺りには爆発音と土埃が舞った

米屋「遅ーよ、弾バカ」

出水「これでも急いで来た方だぞ、槍バカ」

秀二を支えたまま此方に来る陽介は俺達の後ろにいる変化炸裂弾を撃った出水に声を掛ける

互いに、何バカ、何バカと言うのは何時も通りた

太刀川「あ、迅。これ」

迅「?」

太刀川さんのポケットから出てきたのは風刃

迅「!、これ」

太刀川「忍田さんが「苦戦しているから使え」だとよ。城戸司令からも許可が降りてるぜ」

迅「...うん、ありがと」

ノーマルトリガーを解除し、それを手にして起動する

久しぶりの感覚だ、最上さん、力を貸してくれ
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