世界が違う

□おかえりなさい
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迅sid



体が重く、呼吸がしずらい

瞼を開けて入ってくるのは何時もの天井だ

顔だけを動かすと、俺の上には3匹の猫が寝ており

何より不思議なのは香りだった

まるであの人の香りのようで

迅「!」

ビクッと大きく体を震わせながら飛び起きると上で寝ていた猫達もビックリしてベットの下へと落ちる

ヴァイスとブラウンは足で着地したが、かなり熟睡していたシュヴァルツはゴンッと痛そうな音が鳴った

迅「ご、ごめんな」

そう言って分かるかどうかは知らないが、それでも3匹の猫達はピョンとベットの上に来ると

俺の元へと来て、伸ばしていた足の上でくつろぎ始める

理由は何故か

それらを考えようとする時、自分の姿が何時もと違う事にようやく気付いた

頭には包帯が巻かれており、体は灰色のローブに包まれていた

木崎「迅、起きたか?」

迅「あれ、レイジさん?」

木崎「...まだ寝ぼけているみたいだな」

ガチャとノックをして入って来たのはレイジさんで

なんで俺は此処で寝ているんだ?とか

なんで俺はこんな格好しているのか?とか

なんで俺は怪我をしているのか?とか

疑問は上がるばかりで何も解決していない

木崎「とりあえず、朝食が出来ているから顔洗って食べるぞ」

それだけ言うとレイジさんは踵を返し階段を降りる音が聞こえた



リビングには珍しく陽太郎とレイジさんしかいなかった

ボスがいないのなんて本部で泊まる時だけだと思っていたのに

朝食を食べえて食器を洗い終えるとレイジさんは大学へ行くための準備をし始めた

?「迅っ!」

迅「ぶはっ!」

ソファーでテレビを見ながら「昨日何してたっけ」と思い出しながらコーヒーを飲んでいると

リビングの扉が急に開き、聞いた事のある声に驚いて吹き出しそうになった

迅「あれ?太刀川さんと風間さん?」

そこには普段絶対に来ない2人の姿があった

風間「無事だったか、迅」

迅「え?なんの話?」

太刀川「お前、昨日の戦闘中に飛び出して穴に落っこちたんだ!」

体をガクガクを揺さぶられながらも風間さんが「怪我をしているから程度にしろ」なんて言った

風間「お前、そのローブどうしたんだ?」

迅「え?あー...」

寝ている間に着せられたローブ

それはお世辞にも綺麗とは言えず、所々に小さな穴があったり汚れていた

そして太刀川さんが言った昨日の戦闘とは?

迅「!」

その言葉に思い出し、俺は急に立ちあがった

立ちあがった時頭に何かぶつかったような気がしたがそれを無視してレイジさんの元へ向かおうとリビングを出ようとした時だった

ちょうどリビングに戻って来たレイジさん、その後ろには陽太郎がいたが

俺はレイジさんの両肩をガバッと掴んだ

迅「レイジさん!氷月さんはっ!!」

太刀川・風間「「!!」」

木崎「今から行くぞ。会いたいだろ?ボスから場所聞いてるしな」

リュックの片方だけ肩掛けるとレイジさんは車のキーを出しながら玄関ね向かう

木崎「迅、それは洗濯機へ入れとけよ」

そう最後に言って出て行く

その指示に従い、俺はローブを洗濯機へ放り込む

玄関には靴の履き終わった太刀川さん、風間さん、陽太郎と俺を待っていてくれた

陽太郎「行くぞ、迅」

何時も通り生意気な陽太郎を抱きかかえ、急いで靴を履いた



最初、幼稚園に陽太郎を預け、俺達は彼女がいると言う施設へと訪れた

太刀川「病院...」

そこは最近出来たボーダーと契約している病院であり、隊員を優先して見てくれる所だ

エレベーターにより7階の廊下に降り立った時、レイジさんの携帯が震えた

ちゃんと使用許可区域で携帯を広げればボスからだったらしく

内容を黙読してからしまった

風間「返事はいいのか?」

木崎「ああ、病室の番号があっただけだ」

そう言ってレイジさんを先頭に俺達は大人しくついて行く

今すぐに走り出して会いたい気持ちを抑えていた

7−015と書かれた病室にネームタグはない

だが「使用中」と書かれているために誰かが使っている事は確かだった

木崎「失礼します」

コンコンコンと3回ノックし、レイジさんが先に入る

林藤「お、来たな。忍田、説教はそこまでだ」

忍田「...そうだな」

『うへ〜、キツイじゃけん...』

忍田「のちに城戸司令も来るからな」

『鬼か』

その声に飛び出し、忍田さんを押しのけて飛びついた

『!』

会いたかった人は驚いたものの、俺の頭に手を乗せた

『起きたんじゃな、よかったぞよ』

迅「...俺よりも、あなたの方が」

『(今は堪えろ、後でたっぷりと聞いてやる。それともガキンチョ3号の餌食になりたいか?)』

溢れ出す涙を堪え、太刀川さんがいるのを思い出してゆっくりと離れる

水色の綺麗な髪、青く深い瞳、白くきめ細かい肌、落ち着く声音、緊張を解す方言

言いたい事は沢山ある

だけど、此処は大人な対応をしよう

迅「おかえり、白川さん」

『おん、ただいま』
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