世界が違う

□生まれた日
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迅sid



小南やレイジさん、林藤さんから誕生日プレゼント個人で渡された

小南からはフェイスタオルを3枚

小南「これから夏になるからね。ちゃんと選択しなさいよね!」

と何故かのツンデレ

レイジさんからは料理と手作りケーキに加え学生時代に使っていた参考書等を

木崎「試験対策だ。いくら大学に行かないにしと高校くらいはしっかりしろ」

と真面目な表情で頭を撫でられた

ボスからは玉狛ジャージ(氷月さんと一緒)の物を

林藤「ペアルック、いいだろう」

とニヤニヤと人が悪そうな笑みと共に貰った

一番ほしい人からは何も貰えていない

これは未来でもあった通りだ

皆が寝静まり、あと少しで日付が変わろうとしている時間帯

俺は部屋を出て氷月さんの部屋に静かに入り込んだ

そこには誰もいない

ベットの上には猫が3匹身を寄せて寝ているが会いたい人はいない

此処にいなければリビングの明かりもないために行くところは1つだけだった



屋上の扉を開ければ此方に背を向け

足を外に放り出している白川さんがいた

静かに向かい、隣へ腰を下ろした

『楽しかったか?』

その言葉に首を縦に振る

すると自分の肩に腕が周り抱き寄せられた

暖かく甘い香りがする

『すまんな、今まで避けて追って。我は臆病じゃから人の誕生日の祝い方も知らんし、人に会わせる顔がなかったんじゃ』

迅「!」

初めて聞く弱音に驚き、顔を上げる

そこには優しく微笑む大好きな笑顔があった

『お前さんが望むもんをやりたいが、我はあげんからな』

クスと笑い、前を見た

俺が一番に欲しいのは、今は言葉だった

でも、それもきっと分かっていてくれない

だからこそ手を伸ばし、首にあるブリッジのないサングラスに触れた

『!、これでええんか?』

此方をしっかり見て言って、不思議そうな表情と共に

迅「(これがいい)」

そう伝えれば、白川さんはニコリと微笑み首からサングラスを外した

俺の頭にそれをのせ

『おめでとう、迅』

と言ってくれた

最高に嬉しかったのをしっかりと覚えている

好きな人から祝えてもらい、好きな人からプレゼント貰い、好きな人から名を呼んで貰った

幸せすぎて嬉しすぎてどうにかなりそうだ



次の日は休日で目が覚めると目の前は白地の分厚い服だった

見上げれば好きな人が寝ており

自分の頭の下には白川さんの腕があった

まだまだ若干寒い部屋の中で俺と白川さんの間には猫達が入り込んでいる

『ん...、おはようさん』

次に白川さんの目が覚めて、俺の頭をもう片方の手で撫でた

寝起きのせいで舌足らずで掠れた声にドキドキし

頬が赤くなっているのが自分でも容易に分かった

『何を照れておるじゃ』

こう言うときはハッキリと言うから意地悪だ

見られなくなくてギュッと抱きしめると猫達が飛び起き、挟まれまいと逃げ出す

背中をトントンと優しく叩かれ、今だけは子供に戻った気分

今も子供だけど

『ほれ、もう起きて顔を洗わんと木崎のご飯を逃すぞよ』

迅「(好き)」

声は出ない、だからこそ今は許されると思った

トクントクンと規則正しい白川さんの音が聞こえて眠くなる

『ほれほれ、起きたじゃ、起きた』

俺から離れるように起き上がり布団が剥がされる

寒いと思いながらもご飯は逃せば昼間で何もないために仕方なく起き上がる

『行くぞよ』

手を差し出されてそれを掴む

彼女の机の上に置かれたサングラスを自慢するようにして首にかけた

『おん、似合っとる』

そうしてリビングへ行けば

既に皆がいた

フライパンを片手にオムライスを作るレイジさんが最初にこっちを見た

木崎「おはよう」

『おはようさん』

迅「(おはよう)」

林藤「お、迅。その首、どうした?」

小南「首、って...、あ!白川さんっ!!」

『すまんって』

珍しく白川さんに怒る小南の姿に男性陣はあっけに取られた

どうやら小南から「自分の物を上げるのはいけない」とかなり深くまで釘を刺されていたらしい

だからこそ、本来そこにあるはずのものがない

そこは寂しくなってしまったが、あの人から唯一貰えた最高のプレゼントだと思っている

だからこそ、返したくないのだ

小南「全く!」

『今時の高校生が持つもんが分からんのじゃよ』

木崎「文房具とかにしなかったのか?」

『文房具じゃと全年齢対象じゃろ?それには逃げとうなかった』

林藤「なるほどな、こればかりは仕方がないか」

今度、あの人の誕生日は半年後

あの人の首に何か物が増えるようにしよう

けど、その日が来る事は1度もなかった
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