世界が違う

□自慢の後輩
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午後になれば迅は防衛任務で警戒区域へと向かった

我はと聞かれれば、迅が去った後

タイミング良く城戸司令、忍田本部長、林藤支部長と護衛のためか東さんがいた

城戸「本物だな?」

『おん、我は我じゃよ』

久ぶちに顔を会わせた城戸さんには、疲労の色は見られず

その代わり長い年月離れていた事を思い知った

城戸「...どうしたい?」

『裏切り者かもしれんぞ?』

忍田「白川!」

我の言っておる事に忍田さんは怒る

それもそうだろう、勝手に帰って来て、勝手に言葉を発するのだからな

城戸「裏切り者であれば此処にのうのうと戻って来ないだろう。しかし、近界に行ったからこそ此方の管理下へ入ってもらい、監視対象となる」

『ほうほう、それで?我の道は何が残っておる?』

城戸「戦闘員、エンジニア、オペレーター、事務。ボーダー内で活躍する場所にしか放てない」

『ん〜、なら我はどうしようかのう』

真剣な話をしているのは分かっている

だからと言って何もしない訳ない

元から罪滅ぼしと言ってもいい感じで戻って来たのだから

東「戦闘員でいいんじゃないか?」

護衛の東さんが微笑みながら言う

我にはなんでか分からない

『ぬ?なんでじゃ、東さん』

東「近界で独自の戦闘を生み出し生きて帰って来た。それだけ戦闘に特化しているのに後ろへ下げるのは勿体ないと思ったから」

『じゃが、我にトリガー持たせたら何処に行くか分からんぞ?それこそ今の此処で裏切るかもしれん。なら後ろへ下げて檻ん中ぶち込んだ方が監視がしやすいじゃろ』

東「自分で首を絞めるな」

『すまんせん』

東さんから軽く叩かれた

自分の首を絞めているなんて知っている

けど、こうでも言わないと知らない隊員には示しがつかない

林藤「戦闘員として、監視はアイツでいいだろう」

忍田「私も、戦闘員の方が助かる」

城戸「...古株としてでもあるが、向こうで生き残った力、此処で使わない手はない。どうだ?」

『好きにしてくれて構わんよ。我は今や捕虜のような存在じゃしな。人権もお前さんらにあるんじゃろ?』

城戸「そうだな。では、退院したらすぐに本部へ来い。新しいトリガーを渡す」

『え?前のじゃいかんのか?』

東「今は緊急脱出があるのが当たり前なんだよ。白川さんにもそれがいるだろ?」

『我はええよ。何時も通りでな。死なない戦闘はええかもしれんが、我にとってはそれが生きがいじゃよ』

東「そんな事言ってたら迅に怒られるぞ」

『なんでそこでガキンチョ1号が出てくる』

東さんから迅の名前が出た時、自身の心臓がドクンとなった

城戸「とりあえず、今日の話はここまでだ。明日退院らしいな」

『腕だけじゃしな』

林藤「その腕だけでお前は入院してんだよ。手首から肘までパックリと開いていたからな」

軽く言ったつもりだろう林藤さんの言葉に

東さんも忍田さんも顔が引きつった

忍田「何処で?」

『ぬえ?』

忍田「何処で怪我した?あの陥没した時か?」

『違うぞよ。此処に来る前の国で切られただけじゃ』

東「へぇー、それで今まで傷はほったらかしだったと?」

『(あ、マズイかも)ウィッス』

忍田「詳しく聞こうか」

東「そうですね」

林藤「じゃあ、ボスとして」

城戸「......」

『え、あ、う、ウィッス...』



迅「それで死んだ魚のような目をしてたんですね」

『おおー、忍田さんと東さんのコンビヤバいじゃけんね』

迅「言葉や声音は何時も通りなのに」

『ほれ、ガキンチョ1号。何か話したい事があるんじゃなかと?』

防衛任務を終えた迅が来たのは夜の7時半

もうすぐで面会時間が終わる

迅「勝ったら名前呼び、有効期限ありましたか?」

『なかよ。我はそう言うの面倒じゃしな』

迅「なら、また模擬戦してください。そして、今度は別ルールでやりませんか?」

『ほう。それでお前さんが勝てるんか?』

迅「勝ちに行くんですよ」

こうして約束した戦闘の話

それが裏目に出てるとは思いもよらなかった

迅「絶対に名前で呼んでくださいよ」

『おん、勝てたらな』

迅の記憶が流れ込む

そこには迅を含めた2人がおり

その人物と作戦会議をしていた

分かっていて知ってはいるが

勝利に貪欲で勝ちに来る事は嫌いじゃない

面白い戦闘も兼ねて、新しいトリオン体に慣れよう
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