世界が違う

□監視行動
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迅「遊真が使ったのがグラスホッパーですよ」

『ほうほう、空中でも足場が出来て移動出来るんか。進歩したんじゃな』

対戦ブースで一番目立たない席に座った

けど、玉狛の迅悠一と言うだけで周りに人はやってくる

例えば

嵐山「お!迅!」

迅「嵐山」

背後から声を掛けられ顔だけを後ろにすればA級5位の嵐山隊の嵐山が声を掛けて来た

嵐山「あれ?この人は?」

『ぬ?お前さんは、ガキンチョ5号か』

白川さんも振り向いた

嵐山「え?その言い方って、もしかして白川さん?」

『おん、我じゃよ。久しぶり』

流石の嵐山も硬直する

無理もないだろう、行方不明として扱われていた白川さんが急に戻って来たからな

嵐山「その怪我は?」

『ん?まあ、事故みたいなもんじゃよ。絶対安静で動かすのは厳禁じゃって』

ニヒヒと不思議な笑い方をしていた

佐鳥「嵐山さーん!」

さらにその後ろからチームメイトの佐鳥、時枝、木虎、綾辻が来た

木虎「迅さん...」

迅「露骨に嫌な顔をしないでくれる?」

木虎「無理です」

迅「即答...」

『日頃の行いじゃな』

過去を見ていると言う事は、俺の日頃も...

『セクハラ、じゃよな?』

迅「げっ...」

すっごい良い笑顔してる...

綾辻「あの、そちらの方は?」

そう言うと嵐山隊の全員が白川さんを見る

オペレーターが他の隊員と顔を合わせない事があっても

隊員である木虎、時枝、佐鳥も知らない人物だ

『我は白川氷月じゃ。よろしくな』

人のいい笑みじゃない

これは張り付けた笑みだ、前までの俺のような

誰にも迷惑を掛けないようにする表情

木虎「何処の部隊の人なんですか?」

『我は単独でソロじゃよ。誰とも組まんし、組みとうない』

木虎「怪しい」

木虎は自分に厳しい分、他人にも厳しい

本部内の秩序が乱れないためにも相手の事を確認するのは当然だろう

嵐山「木虎、この人はボーダー設立に立ち会った人で戦闘は折り紙付きだぞ」

『なんでお前さんが自慢しておるんじゃ、ガキンチョ5号』

木虎「ガ、ガキンチョ!」

時枝「嵐山さん、5号なんですか」

嵐山「おう」

迅「いやいや、胸張って言える事じゃないぞ」

時枝「え?じゃあ他は?」

『此処におる迅が1号。小南が2号で太刀川が3号。風間が4号で嵐山が5号で三輪が6号じゃ』

迅「え?秀二が入っていたのか?」

『おん、そうじゃよ。昔は無謀な挑戦者達じゃったな』

ククク、と喉を鳴らしながら本当に面白そうに笑うも

目は笑っていない

どうしてなんだ?何時から本当に笑えなくなったんだろうか?

深まる疑問に俺はどっぷりと浸かって、白川さんと言う存在に嵌っている

木虎「あなた、いくつなんですか?」

『我はー、えーっと、いくつじゃ?あん時が19じゃったから...』

迅「今は22ですよ。今年の誕生日で23」

『そうじゃったそうじゃった』

木虎「自分の年も分からない人に嵐山さんが負けるわけありません」

『言ったじゃろ?「昔は無謀な挑戦者」じゃったと』

木虎「っ」

白川さんの目は語っていた

今と昔は違うが、自分は過去しか知らない、と

それに木虎は気づかない

木虎「勝負して私が勝ったら撤回してください」

嵐山「木虎、白川さんの言っている事は事実だ。それに白川さんは怪我をして...」

木虎「撤回してください!そして私にあなたの力を見せてください!!」

『...困ったのう、今はメンテナンス中でな後5分は戻って来んのじゃ』

右手で後頭部を掻きながら本当に困ったような笑みをする

まるで、手の付けられない子供、と言ったような表情だ

?「白川ー」

『ぬ?お、誰じゃ?あのおっさんは』

ブースに入って来た珍しい客人

冬島さんはノートパソコンを片手に気怠そうに此方へと来た

冬島「おっさん言うな。俺だよ俺俺」

『...詐欺?』

冬島「ワザとだろ」

『おん、そうじゃ』

冬島「一応出来たから持って来た」

『ぬ?取りに行くはずじゃったんじゃが...』

冬島「実践して直せだってよ。俺の仕事になった」

『なるほどな。分かったぞよ』

冬島さんはポケットから白川さんのトリガーを取り出すとすんなりと渡す

初めて渡された新型のトリガーをよく見て握ったりしていた

『手に収まる感覚が前よりええな』

冬島「お前のはただの四角だったからな。それに比べればフィット感いいだろ」

『おん、最高の手触りじゃな』

そして何気なく「トリガー起動」といいトリオン体へと切り替わる

そこには俺と似た服装

青緑色の生地に黒のラインが入った玉狛ジャージの前をしっかりと締め

黒いズボンとブーツをしっかりと着こなしていた

腰からは2本の弧月がぶら下がっていた
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