世界が違う

□やるべき事
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迅sid



ローブの形をしたシールド

強度はスコーピオンが簡単に折れる程度、なんて

迅「冗談じゃないよ」

太刀川「だよな」

風間さんが目の前で緊急脱出すると、屋根の上に居る白川さんと目があった

その瞬間、俺の中にある何かがゾクゾクと何かが高まり、同時に背筋が凍った

『我を本気にしたお前さんらが悪いんよ』

手の中にそれぞれ青い孤月が握られ、黒いローブが風に靡く

逆光のせいで相手の顔が見えないが

きっと白川さんは真剣な表情をしているだろう

『ほれ、もう遅いじゃけん』

ロケットのように屋根から一直線に此方へ飛んでくる

早すぎて反応が遅れるも、間合いをしっかりと保って下がった

はずなのに

「伝達系切断、太刀川、緊急脱出」

無機質なアナウンスと共にさっきまで太刀川さんがいた所を見れば

天に光が昇っていき、青い瞳がしっかりと俺を見ていた

『グラスホッパー』

迅「!」

俺の周りにはグラスホッパーで相手の周囲を回るピンボールの準備が出来ており

白川さんはピンボールに入ると、思った

迅「なんで...!」

『焦ったら判断は鈍る。忘れたか?』

「トリオン供給器官破損、迅、緊急脱出」

?「うばっ!」

迅「はぁ!?」

てっきりベットの上へ落ちるかと思いきや

太刀川「喧嘩売ってんのか?迅」

迅「いやいや、何で呑気に寝てるんですか」

太刀川「今どこうと思ったらお前が降って来たんだよ」

迅「いて」

風間「...漫才はそのくらいにしろ」



1分後に再転送すると白川さんは暇そうに塀で座っていた

『なんじゃ、結構遅かったのう。待ちくたびれたぞよ』

太刀川「白川さん討伐会議してたんで」

『そうか。それで?わかったんか?』

太刀川「まあね」

ニヤリと白川さんが微笑み地面に足を付け2本の孤月を抜いた

どちらも残り1点

取られれば負けが確定する

1時間かけて取った4点

白川さんは本気になれば5分で4点を取るだけの実力がある

此処が戦場であれば、俺達は出会い頭に死んでいただろう

そう思うと白川さんの場合は幾つもの戦場を渡り歩いたせいで危機感が足りていない

そして相手は俺達

猶更、油断はしないだろう

太刀川「行きます」

『ええよ』

太刀川さんが2本の孤月を取り出し、駆ける

それを見た白川さんも

風間さんはカメレオンを使わず、太刀川さんのフォローをしている

ガキンガキンと刃が交じり合い火花を散らしては白川さんはチラチラと俺を見る

先ほどまで攻撃に加わっていた俺が下がっているのが気になるのだろう

だがそれでも風間さんの背後からの攻撃を防いだり避けたり、太刀川さんの旋空を軽々と避ける

相手の過去を見て癖や心境を調べ取ったのだろう

それでもあのローブは邪魔だ

風間さんのスコーピオンが全く届いていない

『何をする気じゃ?』

風間「それを教えては意味がなくなる」

『じゃが、過去を見れば簡単に...!』

太刀川「迅!」

過去を見る、それが

迅「あなたの弱点」

『!』

急接近した俺に気づいた白川さんは俺に孤月を振るう

しかし、太刀川さんが1本の刃をダメにし

風間さんが白川さんの腕を掴んだ

俺はそれを見て、白川さんに飛び込んだ



『我は心底我の事が嫌いじゃ。嫌いで嫌いで、どれだけ殺したいと思っても出来ん。だからこそ、我の弱点は我なんじゃよ』



俺だったら確定した未来を変えられない自分が嫌いだ

そして風間さんが言ったあの言葉



風間「今のお前は昔の白川さんそのものだ」



それをつなぎ合わせれば

これが弱点だ

腹に顔を埋め、腰にしっかしろ腕を回す

『やめっ...!』

一瞬だけ強張る体

俺の過去を全て見るために脳からの電気信号を全て拒絶する

そして一瞬の隙が出来て、太刀川さんと風間さんが白川さんに止めを刺した

『我も人の事言えんかったか。楽しかったぞよ』

「トリオン体活動限界、白川、緊急脱出」

こうして約1時間半続いた勝負と

約10年に渡る約束が果たさされた

太刀川「変態」

迅「太刀川さんに言われたくないね」

風間「とりあえず戻るぞ。予想よりもかなりの時間を食ったからな」
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