世界が違う

□後ろ姿に手を伸ばす
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風間sid



本来、俺達風間隊が使っている隊室にはあまり入れたくない人間が2人もいた

菊地原と歌川は久しぶりの休暇で遊びに出ており、三上は宇佐美達オペレーターの女子会をしているそうだ

風間「それで、だ。なぜお前達が此処にいる?」

太刀川「だって、風間さんなら何か知ってるんじゃないかと思って。な?迅」

迅「いや、俺に振られても」

無理に笑っていた迅の笑顔も白川さんが戻って来てからはましなものになった

だがここ最近、前に比べてもっと酷い笑顔をするようになった

これは絶対に白川さんが関わっているだろう

そして太刀川もだ

前までは大学にいても「模擬戦が出来る!」との一択だったのに

今では白川さんに関して「模擬戦」の「も」の字も言わなくなった

何のために白川さんがこんな事をしているのか全くもって分からない

風間「はぁ。俺も白川さんについては何も知らないぞ」

迅「いや、風間さんには相談したくて」

風間「?、相談?」

迅の持って来たぼんち揚げを摘みに、迅の真剣な相談事を聞いた

簡単に言えば

トリオン兵から命を救って貰い、衣食住を与えてくれた白川さんに一目惚れし

今では恋愛の「好き」が分かったようだ

この前の戦闘での報酬として「白川さんの恋人になりたい」と言った所で事実を知る

迅の未来視を利用し近界民が襲って来る事が目に見え迅の母親が死ぬ未来を回避出来たと言う

だが、それは白川さんが近くに居ればの話だったらしい

そして小さい頃に助けて貰った事によりそれは一瞬の気の緩みで出来た感情であり

本来、迅が持つ感情とは違うのだと全面的に否定されたようだ

以来迅は白川さんを見てもどうすればいいのか分からないらしい

告白には振られ、近くに行きたいのにいけないもどかしさが迅の心を抉っている感じだ

太刀川「それっておかしくね?」

迅・風間「「??」」

太刀川「何年離れても気持ちは変わんなかったし、それに気づいたのは迅だけだろ?だったらそれは迅が思っている感情で間違いないだろ」

迅「!」

風間「確かにな。普通どうでもいい事はすぐに忘れるのが人間だ。だが迅は白川さんの事を毎日思っては苦しんでいた。ならばそれは迅本来の感情ではないか」

太刀川「何言ってんだよ、迅」

至極驚いた顔をしている迅はその言葉を受け止めてくれたらしい

そしてすぐに表情が変わると柔らかい笑みに戻っていた

風間「太刀川は?」

太刀川から聞いた話は白川さん本人が零した弱音だった

自分はいつの間にか別の人間になっているかもしれない

自分は本物ではないかもしれない

自分は敵国のスパイかもしれない

風間「気まずくて会えないんだな」

太刀川「まあ...」

全く、本当にあの人の目的は何なんだ

爆弾ばかりを残して行って何になるんだと言う

?「風間さん!」

風間「!、三上」

三上「大変です!南南東の市街地に人型近界民が1体現れました」

「「「!!!」」」

三上「今は白川隊員が向かっているとの情報が...」

迅「悪い風間さん!俺行く」

太刀川「国近!正確な場所を!」

どうやら太刀川の所にも情報は行っているようだな

慌てて隊室を出て行く2人を見送り、俺はトリガーを起動させる

風間「三上、菊地原と歌川に連絡を取れ。カメレオンを使用して付近で待機だ」

三上「分かりました」

白川さんいついての感情を理解した迅は意地でも守りに行くだろう

ようやく帰って来た俺達の憧れを守りに

俺も白川さんの隣に立つために努力をした

だが、白川さんは誰も選ばない

太刀川から聞いた話が正しければ

白川さんの身には何かが起こっている病気か?それとも新手の精神的なストレスなのか

どちらにしろ、白川さんは此処で戦ってくれないと困る存在だ

風間「俺も出る。随時情報をよこしてくれ」

三上「はい」

何時もの席に座った三上はヘッドホンをつけマイクを下すのを見てから隊室を出た
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