世界が違う

□後ろ姿に手を伸ばす
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白川sid



夏の暑いじめじめとした気候の中

我は懐かしい人物と対面していた

日本に来る3つ前の国で手助けをしていた国の近界民

悠一の事を尊敬している緑川って子によく似てて、頭はよく、戦闘能力は高い

その人物が門から出て来た

名前はオルバ

オルバ「なんだ氷月、戻っていたのか」

『まあ、1ヶ月前じゃけんね』

トリオン体の彼の目的は分からない

だが過去を視ればそんな事は簡単だった

オルバ「お前を連れ戻しに来た。「戦場のピエロ」よ」

『おいおい、我はそんなにヘラヘラしとらんぞ』

オルバ「は、何を言う。如何なる状況でもその顔から笑みが消える事無く、余裕で戦場を駆け巡り圧倒的な力を見せつける。それでついた二つ名は「戦場のピエロ」だろ」

『はぁ...、そこまでショーを楽しんでおらんよ』

オルバの赤毛が風に揺れ、我はその場から1歩後ろに飛んだ

オルバ「ちぇ、当たってくんねーか」

『すまんな。我は此処を守らにゃあかんのじゃ』

我がさっさまでいた場所には青色に光るトリオンが下から上へと上がっている

これが彼のトリガーだ

自在に罠を設置し、巧みな言葉使いで相手を誘い込むのが得意

だがそれは彼の戦術の1つであり

オルバ「俺はあんたを連れ戻す。俺の憧れは此処にいちゃいけないからな」

『そりゃどーも』

オルバ「っ!俺は、もうあの時のように弱くないっ!!」

『...そうじゃな』

青い孤月と赤い剣が交じり合う

それは敵国の近接武器の1つである剣だ

普通の剣となんの変りもない、だがそれに体が当たるとトリガーで痛覚を切っているのにも関わらず若干の痛みを感じる

ガキンガキンと音が鳴り響く

何もない市街地に激しくぶつかり合う音が木霊するだけだった



「戦闘体活動限界、トリガー、解除します」

機械音を聞いて相手、オルバは生身に戻る

ガクガクと震える足は崩れ、両腕で体を支える

体中から汗を流し、荒い呼吸を整えていた

オルバ「どうして...どうして、勝てないんだ...」

誰がどう見てもその姿は絶望しているように見える

ただそれだけ

オルバ「なあ、また来てくれよ...。あんたは此処よりも俺達の国の方がいい」

『すまんな。我は生まれた場所で墓に入りたいんじゃよ』

オルバ「それって...!」

『...気にする事なか。ほれ、お迎えの時間じゃろ?』

オルバの後ろには黒い門が見え、その中には小型船舶が停まっていた

『復讐を望むのはええが、此処ではやらんでほしい。それに、我の場合はもうすぐで死ぬ。お前さんがどうしても手を掛けたいと言うんなら、お前さんの国に訪問してやるよ』

オルバ「...姉ちゃんは言ってた」

『?』

悲しい顔をしてオルバは我を顔を合わせる

その目には何故か強い光が見えて

過去が映し出された



――私を救ってくれたのよ

――違う、アイツは姉さんを殺して

――私、もうすぐで向こうに捕まる所だったのよ?

――でも!

――分かってとは言わない。それをあの人も望まない

――じゃあ

――「ありがとう」私の憧れに、伝えて



『...何でじゃろうな。我は急に自分を殺したくなった』

オルバ「あんたは何時も死を求めていただろ」

『そうじゃな』

オルバ「姉ちゃんの伝言は伝えた。そして、俺はあんたにずっと「憧れ」しか抱かないから」

『そうか、はよ行け』

オルバ「...さよなら、氷月様」

『おん、じゃあな』

門の船に乗っていく彼の後姿を視ては、運転席に乗る彼の友人に視線を送る

彼は我に会釈をしてから、門を閉じた

?「今の話は、何?」

戦闘が終わった頃からずっと後ろに居たボーダー隊員

その人数は3人、いや狙撃手を入れて4人だ

迅悠一、太刀川慶、風間蒼也、東春秋

迅「ねえ、答えてよ氷月さん」

悠一は気づいていない、我の名前を呼んでいる事に

そして我は、自分の名前を聞いて自分を殺したくなった

『言わんでも分かるじゃろ?我は近い未来に死ぬんじゃよ』

振り返る、そこには辛そうな表情が浮かんでいた

やっぱり、戻って来るべきではなかったのか

風間 「撃てるか?」

その疑問は誰に問うたのか

蒼也の一言で頭の中にアナウンスが流れた

「トリオン供給器官破損、トリガー、解除します」

トリオン体が解除され、東が撃ったのだと気づくのは遅かった

手から零れたトリガーは悠一の足元に転がり

3人が同時に目を見開いては息を呑んだ

あーあ、ばれちゃった

玉狛のジャージには、我の血がベットリと付着していた
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