世界が違う

□いつも通りとは言わない
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出水sid



国近【太刀川さん、そっちにモールモッドが3体いったよー】

太刀川【おいおい、唯衣は何してんだよ】

唯衣【ギャーッ!!】

通信機の奥では何故か激しい戦いが幕を切っていたらしい

『いやー、皆元気じゃけんねー』

出水「そうすね」

今日は二手に分かれて行動していた

訓練室の事もあってか唯衣は白川さんの事が恐怖対象でしかなくなり一緒に組めないと言う事で太刀川さんの方へ行った

太刀川さんは太刀川さんで白川さんと組みたいと言っていたが

さすがにお荷物を世話しながら敵を倒す事は不可能なので

攻撃手と射手の組み合わせになった

今日のトリオン兵はバムスター5体、モールモッド10体、バンダー7体と豪勢で

太刀川さんの所にも同じだけの数が出ている

『ナイスアシスト』

出水「いえ」

ゲートが開いた瞬間

白川さんは最初に現れたモールモッド2体を弧月1本で弱点をしっかり切ると

2体目のモールモッドを踏み場にしてバムスター4体の頭をこれまた1本の弧月で切る

4体目のバムスターを再び足場にしてバンダー2体を撃沈させた後、ようやく地面に足が着いた

白川さんの着地を狙っていたモールモッド3体とバンダー1体を通常弾(アステロイド)で沈めれば

白川さんは内部通信で俺にナイスコール

そしてグラスホッパーにより前へとさらに進む白川さんの援護を必死でしていたら

いつの間にか終わっていた

多分、3分も掛かってないと思う

そして、太刀川さんとは違う意味ですごい人でアシストが追い付かなかった

『おー、あの弱いヤツは逃げてばかりじゃのう。出水君や、こっから届くん?』

出水「見えてれば、なんとか」

『うぃ、じゃあ行けるな』

出水「え?」

アパートの上で望遠鏡を覗きながら言う白川さんに疑問符を浮かべていると

白川さんは俺の目の前に降りて、ひざ裏を背中に腕を回す

出水「え!、ちょ、ちょ!!」

『ほれ、アシスト優先。足はしちゃるけんねん』

グラスホッパーを踏んだ白川さんと共に、お姫様抱っこされている俺は宙へ

高い位置から見えた太刀川さんと唯衣の戦闘では

モールモッド2体に追っかけられている唯衣と

バンダーを全滅させ唯衣を助けに行こうとしている太刀川さんが見えた

『ほれ、慶の方に変化炸裂弾(トマホーク)撃ってやれ』

出水「は!?」

『そんくらいで緊急脱出する慶じゃなかよ。お前さんがよく知っておるじゃろ』

2度目のグラスホッパーは宙に出され、白川さんはそれを踏んで行く

白川さんと同じ方向を見れば、そこには4階建てのビルが見えた

『ほれほれ、撃ったじゃ撃った』

出水「どうなっても知らねーーっ!!」

右手に炸裂弾(メテオラ)、左手に変化弾(バイパー)のトリオンキューブを生み出し

それを合わせるように合成して変化炸裂弾の出来上がり

その間に白川さんがビルの屋上へと俺を下し、ビルに足をつけた俺は

出水「炸裂弾+変化弾=変化炸裂弾!」

太刀川さん目掛けて撃った

太刀川【は?】

俺からのアシストに驚いたのか、真上から変化炸裂弾が降ってくる事に驚いたのか分からないけど

太刀川さんは通信機越しに間抜けな声を出して爆風に飲み込まれた

正直、やってしまった感がデカい

多少心配しながらもビルの屋上から見下ろすように爆風を見れば中心から上に向かって飛んだ黒い物体が見えて一安心する

太刀川【出水、ナイスアシストだけど、変化炸裂弾はねーだろ】

出水「だって、白川さんが...!」

背後にいたはずの人物は何処にもなければ、爆音が聞こえた辺りから鬱陶しい唯衣の悲鳴が消えていた

太刀川さんとは反対方面にいた唯衣の存在を確かめるために振り向けば

地面にへばりつく様に倒れている唯衣と

弧月を鞘に納めながら一息ついている白川さんが目に入った

青いジャージのファスナーを8割型閉め、俺に背を向けているのにも関わらず

顔だけを俺に向けて空いてる左手で顔の横でピースサイン

あ、やばい、惚れた

そう思ったのもつかの間

出水「いて...」

太刀川「なーに惚れてんだよ。出水」

背後に立っていた太刀川さんからチョップを食らった

出水「いや、カッコ良過ぎでしょ。反則っしょ」

太刀川「んな事は分かってんだよ」

【『此方白川。太刀川隊の唯衣隊員の捕獲完了。太刀川隊長、どうするんじゃ?』】

唯衣をあっさりと持ち上げたかと思えば肩に担ぎ、体ごと此方に向けて指示を待っている

太刀川「此方太刀川、今すぐ俺の元に来てください」

【『白川、了解』】

ニヤリと笑った太刀川さんはさっきの隊室で見た時と違う

何かに悩んでいた苦しそうな表情ではなく

何時ものような、戦闘を楽しんでいる表情だ

『ほれ、荷物じゃよ』

唯衣「だ、誰が荷物ですか!僕だって1人であの程度は倒せますよ!!」

『ほうほう。それはええ事を知った。どうじゃ?この後、1人行動は』

太刀川「いいかもしれないな。効率が良さそうだ」

唯衣「ひぃっ!!」

白川さんと何があったのか知らないけど、2人の中で解決したんだったら聞かないでおこっと

それに、今のこの空間が、俺は好きだ
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