大好きな... old

□勉強会
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風上「はあ!?なんでHowとWhereを間違えれるんだよ!?ばっかじゃねーの?」

切「うるせーな!お前だって「−」がある曲線グラフの凸をなんで下に出来るんだよ!」

風上「お前の間違えは中一だろ!?俺は中二だ!」

切「はあ!?」

『はぁ、そもそも君達は何年生ですか?』

風上・切「...中学3年生です...」

『はい、頑張ってください』

この言い合いを止めるのも僕の仕事になってきたようだ

今にも怒りだしそうな真田君を桑原君と柳生君が押さえ、柳君は何時も通りに何かをノートに書き加えている

机に突っ伏したまま動かない丸井君のお腹は鳴り続け、幸村君は此方を見ては微笑んでくる

仁王君は頬杖を突きながら、意外と提出物が捗っているようだ

静かになった仁王君の部屋には、ペンを滑らせる音と蝉の鳴き声が聞こえてくる

こう思うともう夏なんだなと、今更実感した

そして気になる事が1つだけ

真「丸井、静かに出来んのか?」

丸「無理、腹減った」

ジャ「あれだけ食っといてか...」

仁「俺ん家のゴミ箱、ほとんどブンちゃんのゴミで埋まっとるんじゃが」

丸井君のお腹が鳴りっぱなしだ

柳「丸井はダイエットした方が良い。それ以上食べ続ければ腹が出るぞ」

切「もう出てるんじゃないッスかね」

丸「んだと赤也。その頭はもうそろそろ海水に浸からなくていいのかよ」

切「言ったスね!丸い先輩っ!」

丸「お前こそ!」

『はぁ...』

10分に1回は言い合いが始まる

仕方がない、どうせ自分もこれ以上は無理だし

柳生「あの?どちらへ?」

無言で立ち上がった僕に隣を座っていた柳生君が声を掛けてきた

『今日の昼ご飯で素麺が余ってしまったので、自分がこれから食べる予定もなければそのまま捨ててしまうのは勿体ないので』

丸「まさか!」

『はい、差し上げます』

丸「いよっしゃ!」

切「餌付け、ッスね」

どうやら切原君は僕が此処に居るのが気に入らないようだ

何故かは分からないが察しは付く

『ぶっ掛けしか出来ませんが』

丸「なんでもいいぜ!」

『...分かりました』

道具をあらかた片づけてから自分の部屋に戻り

冷蔵庫の中のタッパに詰めてあったいくつかの素麺を取り出す

今日は意外と優真が食べなかったので数が余ってしまった

タッパにそのまま露を掛け、割り箸を持って仁王君の部屋に戻った






仁王sid

素麺を持ってくると言っておった氷月が居なくなると、優真は途端に表情を変えた

些細な変化のためか、ほとんどのヤツは気づかんようじゃ

その間にも、赤也とブンちゃんの言い合いは止まらんかった

リビングの真ん中で戦争が起きとるから俺は退避しようと

風上「仁王先輩、行かなくてもいいんですか?」

仁「俺は安全な場所でゆっくりしたいんじゃよ」

静かに抜け出した風上は俺と一緒にリビングの端っこに座った

風上は前を少し物寂しそうにリビングの中心を見ておった

風上「やっぱ、仲間っていいんだな...」

ボソと独り言を漏らした風上の表情は寂しそうに微笑んでおる

仁「中学に居らんのか?他のヤツとか」

風上「え?あ、うーん、居ない事もないけど、こうやって言い合える程の仲じゃなんですよね」

仁「ほう」

風上「俺、昔の氷月にいっぱい世話になったんだ」

仁「?」

急に昔話をしだした風上は前を向いたままじゃった

風上「殴られた時、勉強で分かんない所があった時、学校で忘れてものした時、全部助けて貰った」

仁「そうなんか」

風上「だけど、俺は助けられたなかった」

仁「え?」

すぐにでも泣きそうな顔は膝を立て、そこへ顔を押し込んだ

風上「俺、自分が情けない。どんな仲間よりも氷月の事が大切な兄弟なんだよ」

苗字が違うのに、兄弟?

なら親同士が離婚でもしたんか?

今の風上は母親に、氷月には父親か?

風上「来年は一緒に通えるように頑張っているし、今度こそ絶対に守るんだ」

じゃが、それよりも気になったんは

仁「風上。「昔の氷月」ってなんじゃ?」

風上「え?」

驚いた表情で此方を向いておる

幸「俺も聞きたいな、それ」

何時の間にかリビングの戦争が終わっておった皆は、俺達の周りを囲むように立っておった

風上の前が幸村なんて、ホラーじゃな
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