大好きな... old

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白川sid

自分の中に生まれる、知ってるが知らない何か

これを「感情」と言うのだろうか?

日に日に、とはいかないものの

少しずつ何かが現れている気がする

分からない、分からない

自分が誰で、今のこの名前も本物のなのか?

優真達は「風上」なのに

僕だけ「白川」

前から思っていた事だ

記憶がなくなってから最初に考えた事

あの人達とは、本当の家族ではない事を

?「氷月。ドリンクの時間だ」

『...分かりました』

柳「顔色が悪い。何か思い出したのか?」

『いえ、何でもありません。ただの考え事です』

柳「相談に乗るぞ」

『大丈夫です。もう少し、自分で整理をさせてください』

柳「......」

今日は夏休みに入って1週間

医者からも大丈夫だと言われ昨日から活動を再開している

部室の中に入って冷蔵庫の中のドリンクボトルを人数分

冷凍庫から水で湿らせ凍ったタオルも人数分取り出してカゴに入れる

指定された時間は残り2分

此処から部室を出て何時も通りに行けば3分は掛かる

これは自分のミスだ

一体、僕は何をしている

急いでカゴを持ち部室から出る

?「氷月!」

『...?優真』

風上「へへ...」

部室を出た先には優真がテニスバックを下げて立っていた

風上「手伝おうか?」

『いえ、自分の仕事ですので』

風上「手伝う」

『...分かりました。これを幸村君達に届けてください。僕は他の部員に渡してきますので』

風上「分かった」

優真は僕の持っていたカゴを受け取ると、振り返る事なく進んでいく

僕も用意をして他の部員の所に行こう



「けど、後輩の話なんて信じられるのかよ」

「不良だぜ?アイツ」

「でも、昔そんな事があったって母ちゃん言ってた」

「マジかよ。なら、俺ら...」

『何をしているのですか?』

「「!!」」

他の部員の所にドリンクをタオルを配る

此処最近、この人達の行動がよそよそしい

何を気にしているのか分からないが

僕がいない所でよく何かを口にしている所を見れば

よほどの天然でなければ頭の悪い人でも気づくだろう

完全に僕の何かを話している

正直気になるが、今はどうでもいい

今は部活の時間であって話を聞く時間ではない

それに、僕の話なら何でもいい

優真やお世話になっている仁王君達の話が出てこれければ構わない

「なー」

『?何ですか?』

2年の先輩が話し掛けてきた

今までこの人と話した事は、覚えが無い

「中学でよ、お前の噂が上がってんだよ」

『噂、ですか?』

「なんだ、知らないのか?」

この人は前に族に入っていたと柳君が言っていたな

そんな人が僕に

「「殺人鬼」って噂が立ってんだよ。本当に殺人鬼なのか?」

『「殺人鬼」?いえ、存じません』

「ソイツの体験談、かなりリアルなんだよ。名前と容姿は合ってんのに、なんか中身が違うな」

『!』

ドクリ、と心臓が嫌な音をたてる

中身が、違う...

「それでも、違うのか?」

『あ、たぶん、人違いでは、ないでしょうか?』

「そうか...。すまなかったな。おい!聞いただろ!違うってよ!」

この先輩は皆を代表して聞きに来たのだろう

もし、本当に僕が「殺人鬼」であったのならば

自分が殺されるのではないかと言う予想はあったはずだ

それなのに臆する事なく、面と僕に向かってきたくれた

「なーんだやっぱりデマか」

「誰だよ、そんなデマに乗っかってたヤツ」

「だってアイツ基本無表情だぜ」

「まあ鵜呑みにしなかっただけましだろ」

部「悪かったね」

『いえ、気にしていません。疑いが晴れたのであれば問題ないです』

部「そうかよかったよ。何かあったらすぐに知らせてくれよ。男子テニス部マネージャーって結構虐められるんだ」

『そうなんですか?』

部「立海テニス部は有名だし、君の同級生はイケメン揃い。女であれば誰しもが隣に立ちたいと欲望をそのまま表現する」

『......』

部「そしてマネージャーと言うかなり距離の縮まる仕事では、えーっとファンクラブだっけかな?ソイツらが「離れろ」と精神的苦痛の虐めを仕掛けてくるらしい。まずは信頼を削いで、次に精神的に、最後には肉体的な暴力まで来るらしいよ」

『前にもあったのですか?』

部「この学校ではないけど、別の学校では自殺した人がいるとか居ないとか。よく分からないけどね」

『そうですか』

部「君も病み上がりだからね、しっかりと休むんだよ」
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