大好きな... old

□練習
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白川sid

今日からまたややこしい事になった

仁王君の出した提案

そう

模倣プレイヤーとなって夜道を「演じる」事だ

これならば不自然がられる事もなく

技術等が問われるだけで問題ないようだ

実際、夜道として試合も相手の技をコピーする事もあった

別に模倣だけなら問題ない

だが、「迷い道」だけ制限されてしまった

時々、まぐれ打ちを狙えと

『はぁ...』

仁「なんじゃ、そんなに嫌じゃったか?」

『いえ、自分が3人に増えた気分です』

仁「大丈夫じゃ。氷月は氷月じゃよ。それを忘れなさんな」

午後練の休憩時間

コートの端に座りながら水分補給をしている

仁王君は隣で立っていて、僕の頭を撫でている

なんで撫でているのか分からないが、彼の好きなようにさせよう

正直、僕がされている行為は嫌いではないのが理由の1つだ

でもなんだか、すごく子供扱いされている気分だが

嫌ではない

コートの中では柳君のペアと桑原君のペアが練習試合をしている

僕達はその後にする

..........

「夜道」を模倣したプレイ

初めての実戦

「白川氷月」でありながら彼女のプレイスタイルをマネする

多少、嫌な気分になるが

彼らが楽しみ、目的を果たすのであれば


また楽しいテニスを教えたる


『!』

彼からの言葉を思い出す

頭の中に響く甘い声と優しい言葉

彼らの目的はあくまでも大会の優勝

けれど、僕には優勝なんて関係ない

僕は、僕は...

仁「始まったばかりじゃからな。そんなに焦っても何も出ないぜよ」

『分かっている、つもりです』

仁「おん、正直じゃな」

隣の彼は僕にしか聞こえない声で言ってくる

そうだ、焦ったってしょうがない

見つからない物は見つからない

さらにその探している物が目で見え、手で触れない限りは

幸「次!仁王、柳生」

柳生「分かりました。行きますよ、佐藤さん」

佐「はい!」

仁「行くぜよ。氷月」

『分かりました』

汗だくの桑原君や女子2人と、涼しそうな表情の柳君がコートから出る

さっきまで僕達が座っていた所に3人は座り、柳君はベンチに置いてあったノートに何かを書き込んでいた

おそらく、今の試合のデータを記入しているのだろう

幸「ルールは、覚えているよね?」

柳「はい、大丈夫です」

仁「分かっとる」

佐「はい!」

『大丈夫です』

幸「なら早めに終わらせてね」

微笑んだ幸村君がコートをから出て行く

4人でネットを挟んでサーブとコートを男子が決めた

仁「どっちが動きやすい?」

『分かりません。試した事もないので』

仁「なら、最初は俺が後ろにおる。途中から交代じゃ」

『分かりました』

仁王君、柳生君が後衛で柳生君からのサーブとなった

前衛の僕と佐藤さんは面と向かい合わせ

彼女は柳生君と一緒に組む事が初めてなのか

それとも試合事態初めてなのか

とても緊張して固まっているようだ

佐「へ、平気なの!?」

『...?あ、僕ですか?』

佐「他に誰がいるの!?」

まあ、確かに

この状況や距離的な問題で行けば明らかに僕だろう

しかし

『何が平気なのですか?』

佐「だ、だってあの男子レギュラーと、し、ししし、試合、だよ!」

『練習試合です。本番は1年先の大会です』

佐「分かってるわよ!だ、だから、私が、言いたいのは...」

『あ、始まりますよ』

佐「え!?」

柳生君が3回くらいボールを地面につくと、高いトスを上げる

最高のタイミングで振り降ろされたサーブは幸村君よりも少し遅く

それでも、間近で見るととても鋭い物が

自分達のコートを跳ねた

仁王君がすかさず拾うと、また柳生君に戻っていく

柳生君のペアである佐藤さんは何をしていいのか分からずにボールを目で追いかけてはラケットを構えなおす

僕は何となく来るような気がし、仁王君の届かないボールを拾う

彼女も無理に拾おうとしては空振りやアウトボールを連発する

緊張が解れる事がないまま、無残な試合が終わった

結果としてはダブルス対シングルスのようなものだった

幸村君から多少叱られ、柳君からは改善点を言い渡され、柳生君からは慰めの言葉を貰う佐藤さん

何かしてあげればいいが、僕には何も出来ない

そして、僕と仁王君と組んでもそこまでの結果を残す事は出来なかった

柳君は僕が後衛になった方が有利になると言ってくれた

仁王君も僕も立ち位置が決まらないので、柳君の助言を採用し明日から本格的に実践する形となって解散

僕は着替えに女子更衣室へ戻ってこれば

部屋の真ん中にあるベンチでしょげている人が
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