BOOK

□今度こそ
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(麻衣)





「白石さんは休みの日とか何してるの?」


「恋人とかいたりする?」


「ずっと仲良くなりたくて喋って見たかったんだよね」


「連絡先交換しよ」


いろんな男の人に話しかけられてなんであなた達みたいな人に連絡先を教えなきゃいけないのかと小さくため息をつく
なんでこんな状況になっているのかと原因の美彩を睨む
事の始まりは美彩が”今日飲み行こ!”というのでいいよと返事し店に着き案内された部屋には大学で美彩が所属している飲み会のサークルの人達がいた



「白石さんだ!」


「ほんとだめちゃくちゃ可愛い」


「・・・・・・」


衛藤「そんな睨まないでよ!騙したことは悪いと思ってるけど何回もしつこくて1回だけで良いからって言うからさ〜」



”まいやんごめんね”なんて言いながら抱きついてくる美彩に”今日だけだからね、一次会で帰るから”と宣言して”ありがとうございます”なんてニコニコ笑う美彩と一緒に空いてる席へと座った



数時間もしてくるとガヤガヤとうるさくなり隣にいた美彩はいつの間にか消えていて焼酎片手に歩き回っていた。
私は話しかけてくる男の人達にトイレと言って席を立ち外の空気を吸いにでた

店の外に出ると喫煙所がありタバコを吸っている人がいた
特に何も気にせず奥のベンチに座ろうと横を通り過ぎると懐かしい匂いがして振り返る



「ハル?」


『...麻衣』



”久しぶりだね”なんて声をかけてくるハル
ずっとずっと会いたかった人が今目の前にいる



「なんでいるの?」


『大学の飲み会、てゆうか一緒の大学だよ?』


「っえ、そうなの?」


『うん笑学部違うし麻衣はサークルにも顔を出さないから知らないのは当然か』



”っはは”なんて呑気に笑っているハル



「知ってたなら大学で声かけてくれれば良かったじゃん」


『あんな風に別れたのに自分からは行けないでしょ笑』



吸っているタバコの先を見つめながら苦笑いするハル



ハルとは高校の同級生
席が隣で仲良くなり高1の秋、ハルから告白をされて沈む夕日の中私達はキスをし友達から恋人になった
だけど高二が終わり明日から春休みで何をしようかと考えていた私にハルから言われたのは別れ話だった




『麻衣、別れよっか』


「なんで、やだよ...私のこと嫌いになった?」


『嫌いになったわけじゃない』


「ならどうして・・・」


『明後日、大阪に引っ越す事になったんだ』


「っえ...」


『何度も伝えようと思ったのに、遅くなってごめん』



ハルからの突然の言葉に私はびっくりした
なんでもっと早く言ってくれなかったのか



『離れていても麻衣を幸せにできるっていう自信がなくてさ』


「・・・」


『会えない分寂しい思いとか辛い思いさせるくらいだったら別れた方がいいと思って』



”だから別れよう”そう言って泣きそうになりながら私を見るハルに私は返事もせずに泣くことしかできなかった


あれからハルとは連絡も取らず何をしているのかも知らないまま時が経っていた



『てか戻らなくていいの?』


「美彩に騙されて連れてこられたから別にいい」


『そっか...あのさっ』


渡邉「ハル…」


『あ、理佐』




ハルが私に何か言おうとしたけど店のドアが開きハルを呼ぶ知らない女の人




『どうした?』


渡邉「みんなが次行くからお会計しようって」


『わかった』




”すぐ戻るから先行ってて”そう言ったハルに対して私の中でモヤモヤした感情が湧き上がる




「誰?」


『同じ学部の子だよ』


「そうなんだ」


『あのさ、自分携帯変えて麻衣の連絡先知らないから...教えて欲しいんだけど』



そう言って申し訳なさそうに言うハルに”いいよ”と言って連絡先を交換した
新しく追加され画面に表示された”如月ハル”と言う文字を見て思わず口角が上がってしまう



「ハルは二次会行くの?」


『一応そのつもりだけど、』


「私と今から抜けよ」


『っへ?』


「早く荷物持って来て、後私の分の荷物もね」



”っえ、本当に?”なんて言ってるハルに”早くして”と言いハルが出てくるまでに美彩に帰ると連絡をして荷物を持って出て来たハルと2人で行く場所も決めずに夜の街を歩いた
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