BOOK

□コリウス
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(麻衣)




橋本「私ね…まいまいと付き合うことになった」




知っていたよ
奈々未がまいまいの事好きなの
私は奈々未にとって良き相談相手で親友
あなたが愛おしそうに見つめるその横顔に私が恋をしていた事なんて奈々未は知らないでしょ?
”しーちゃんは親友だし、色々話聞いてもらってたから話しておきたくて”なんて照れながら話す奈々未
あなたは私が好きと言ったら困るでしょ?
大丈夫だよ、私は奈々未が望んでいる通りの親友を演じてあげる



「おめでとう!良かったね!奈々未とまいまい、お似合いだと思う!」



無理して笑顔を作るのが今の私には精一杯で
奈々未は”ありがとう”と言い私の強がる笑顔には一生気付かないだろう




奈々未と別れ歩きながら帰る
来ていた連絡に”お疲れ”とだけ返信してポケットにしまう


「好きって苦しいな…」


呟いた言葉は冷え込んだ夜の街に消えてゆく
ポケットに入れていた携帯が震え着信を知らせる
画面に表示されている名前を確認して通話ボタンを押す



”お疲れー”


「ハル」


”今どこにいる?”



”何してるかなーと思って”なんて言うハル
ハルには奈々未への気持ちを全て話していた
今日奈々未とご飯に行くと知っていて心配して電話かけてくれたんだよね



「今日奈々未にね、まいまいと付き合うことになったって言われたよ」


”そっか…”


「分かってたけど、本人から言われるとやっぱり辛いね」


”麻衣…”



泣きそうになるのをハルに知られたくなくて心配しないようにと無理して強がり笑う



”無理して笑うなよ、今どこ?迎え行く”



奈々未が気付かなかった事をハルは気づいてくれる
ハルがなんでそんなに優しくしてくれるかなんて私は薄々気づいている
けれど直接ハルから好きだと言われたことはないから私は知らないふりをしていた
1人でいたくなくて、寂しくてハルに居場所を伝える



『っはぁ、麻衣、お待たせ』



息が乱れて私の為に一生懸命になって走って来てくれたハルが私の頬に触れ涙を拭う



『…泣いてるじゃん』


「ハル…」


『…麻衣っ』



ハルに抱きしめられ突然のことに私は頭がついていかない
しばらく抱きしめられハルが”はぁー”とため息をついて離れた



『麻衣が奈々未を好きでも麻衣が幸せだったら自分は良かったんだ、でも…もうこれ以上麻衣の辛い顔や無理して笑う姿は見たくない』


「…ハル」


『麻衣の事が好きだよ、奈々未のことを好きなままでいい、代用品だっていい、都合よく使ってくれてもなんだって構わない、ただ麻衣の側にいたい、ダメかな?』



不安そうな顔をして見つめるハルの優しさに甘え私は自分からハルの首に腕を回し口づけをした
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