BOOK

□笑顔
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『飛鳥ってさ、好きな人いる?』

「…急に、何」

『いや、なんとなく気になって、』

「別に、興味ない」

『そっか、』

「ハルは?いんの?」

『…いるよ』

「っえ、いんの?」

『うん』

「誰?私知ってる?」

『教えませーん』

「ケチ、教えろよ」

『絶対飛鳥には言わない』

「はぁ?うっざアイス奢れ」

『なんでだよ』

「飛鳥ちゃんをバカにしたからだよ、ほら行くぞ」







なんでこんなやつが好きなのだろうか、
口は悪いし態度もでかい、
おまけに人のことをバカにしてくる
ほんと、なんで好きになっちゃったのだろう
”齋藤飛鳥”
ちっちゃい頃から何をするにも一緒だった
物心ついた時にはもうすでに飛鳥が自分を支配していた
どんな時でも飛鳥は自分の隣にいた
それが当たり前だった
だからだろう、自分が飛鳥を好きになったのは






『あの反応は全くもって眼中にないって感じだった』

「まあそりゃあそうだよ」

『なんでだよ』

「だってあんなに可愛い齋藤飛鳥がハルと付き合うって想像できない」

『可愛いのなんて顔だけじゃん』

「じゃあハルは齋藤さんのどこが好きなの?」

『そりゃあ……あれだよ』

「あれって何笑ハルはさいつも一緒にいるから勘違いしてんのかもしれないよ?もうちょっと視野を広げてみたらどう?」

『視野を広げる、』

「っそ、例えばっ」

”ハル先輩!”


『っあ、美月』

「今日って暇ですか?」

『うん、特に何もないけど』

「じゃあ一緒に帰りましょ」



”ハルはさいつも一緒にいるから勘違いしてるかもよ?”

”視野を広げてみたらどう?”



若の言ってる視野を広げるってもっといろんな人と遊びに行けてことなのかな?
だとしたらー


『いいよ、北門で待ってる』

「ほんとですか⁉やったー、じゃあ楽しみにしてます!また放課後」


美月はいいやつだし、珍しく自分に懐いてくれてる後輩だ



「ハル、色々考えてみな」

『急に悟り開いたみたいな顔するのやめて』

「別にそんな顔してない笑っま楽しんでね、放課後デート」

『放課後デート?そんなんじゃないでしょ』

「気づいてないの?山下ちゃんハルの事好きだと思うよ」

『っえ、そうなの?』

「あの感じで毎回来てくれてて気づかないあたりハルっぽい」

『でも美月から直接言われたわけじゃないし、』

「女の子はみんな好きな人から告白されたいもんなんだよ」

『自分も一応女なんですけど?』

「まあまあ、とりあえず山下ちゃんと全力で楽しんできな」



美月が自分のことが好きか
飛鳥しか見てこなかったから他の子のことなんて気にした事なかったな
っあ、飛鳥に一緒に帰れないこと言わないと
またなんか買わされたらたまったもんじゃない



『飛鳥ー』

「なに」

『今日一緒に帰れない』

「なんで」

『用事できた』

「用事って?」

『美月と一緒に帰ることになった』

「山と?なんで?」

『今日暇だったら一緒に帰りましょって言われたから』

「はぁ?」

『だっていつも飛鳥と帰っても別になんもしないじゃん』

「勝手にすれば」

『っえ、っちょ』


なぜにそんな機嫌が悪くなった
一緒に帰れないことがまずかったのかな
いや、あれは弁当に好きなおかずが入っていなかったんだろうな
あとでもう一回ちゃんと謝ればいいか
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