ドンドンドドドン四天宝寺!!
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『解せぬ。』
放課後、廊下を1人歩きながら呟く。
四天宝寺に転入して約1週間。
あたしはぼっちでの学校生活を送っている。
いや別に寂しいとか思ってないし。
...ほんとだからね?
三次元にいなくても、二次元には嫁たくさんいるし。
まぁわりとぼっち充してるわけだけれども。
そんな中1つ気に食わないことが。
隣の席の白石蔵ノ介だ。
転入初日に席替えを要求されてそれを突っぱねたあたしは、クラスの女子の中心的なグループを敵に回したらしく、見事にぼっちとなった。
まぁこれはいい。
わかっててやったことだし。
だが問題はその先だ。
なぜか白石蔵ノ介があたしに話しかけてくるようになった。
クラスメイト、それも隣の席であれば会話があるのは当然かもしれない。
じゃあ何が問題かというと...。
―――転入二日目―――
休み時間になると隣の席には人が集まる。
主に女子。
はっきり言って耳が痛い。
氷帝でも、テニス部レギュラー陣への声援というか黄色い声はうるさかったがこっちも負けていない。
あぁ、跡部の王様は別格な。
まぁこっちでもそんな声を聞くとは思っておらず、静かな学校生活になると思ってただけに正直苛立つ。
でも騒いでるのは周りであって、白石君には責任ないかとあたしは我慢した。
さすがに授業中まではうるさくなかったから寝れるし。
授業が自習になれば教室出てけばいいし。
だからまぁ良かった。
そしていきなりだがあたしは英語が壊滅的だ。
だから英語の授業は真面目に受けるようにしてる。
真面目に受けてても壊滅的なんだけど。
そんな英語の授業が終わった休み時間。
英語は苦手だから疲れたしー、眠いしー、寝るか!と、あたしは寝る体勢になった。
隣からは白石君に話しかけてる金髪君や女子たちの声がしててうるさかったけど、屋上まで行くのもダルかった。
で、事件は起きた。
「なぁなぁ、白石君!今日部活休みやろ?よかったら放課後「名字さんって英語苦手なん?」...ぇ?」
「ちょ、白石!?」
クラスではぼっちで、まだ教師くらいにしか呼ばれたことのないあたしの名字が聞こえた。
しかも誰かの話をさえぎって。
顔を上げるとこっちを見てるイケメン。
滅びろ。
金髪君はワタワタしてる。
なんか可愛いなこの人。
あたしよりずっとデカいけど。
『...苦手デスケド。』
「へぇ、そうなんや。やから英語だけは真面目に受け取るんやな。」
白石君はニコニコしてるけど、周りは水を打ったように静まり返っている。
普段クソ騒がしいくせに、こういう時だけ静かになるのやめて。
とりあえずもう一度寝ようと顔を下に向けたら、
「あ、名字さん部活決めたん?」
とか聞いてくる。
『決めてないし入るつもりない。』
てか寝かせろ。
「え、ホンマに?でもウチ部活入らないかんねん。よかったら放課後案内しよか?」
......なんだって?
アンタ今放課後誘われてるっぽくなかった?
相手の子最後まで言わせてもらえてなかったけどさ。
チラッとそちら側を見るとめっちゃ睨まれてる。
いや、これあたし悪くなくね?
とばっちりじゃん。
目の前のやつは無駄にキラキラ笑顔。
......確信犯だろ。
くっそ、性格わりぃな。
『そういうの余計なお世話だから。今後二度とあたしに話しかけてくんな。てかイケメン滅びろ。(気ぃ使ってくれるのは有難いけど、自分で見て回るから。ありがとう)』
シ-------ン...
あ。やべぇ。
口から出た言葉と心の声逆だわwwwwww
さっきとはまた別の意味で静まり返った教室。
とりあえずなんかヤバイと思ったので、周りが我に返る前にさっさと退散することにした。
もう今年ぼっち確定したなとか思いつつ、でも無駄にイケメンに絡まれることもないだろうなとも安心した。
だがあたしが甘かった。
次の日教室に入るとクラス(女子)の視線が突き刺さる。
それはもうグサグサと。
想像はしてたけど。
てか氷帝のやつらのおかげで慣れてるしね、こういう視線。
こういうのは気にしないのが1番だと、視線は気にしないで席まで歩く。
「あ、名字さんおはよう。」
......。
な ん で ?
なんでこの人あたしに話しかけてんの?
話しかけんなってはっきり言ったんだけど?
え、なんなの聞こえてなかったの??
見た目若いのに老化進んでんの???
「老化なんかしてへんで。昨日のもちゃんと聞いとったし覚えとるよ。」
あぁ、そうなんだ。
...って心の声読んだ!!!!?????
こわ!!
え、こっわ!!!!!
『......オハヨウゴザイマス、そしてサヨウナ「どこ行くん?今から授業やで?」!?』
逃げようとしたあたしの右手はガッチリと掴まれていました。
ためしにブンブンと上下左右に振ってみるけど、ビクともしない。
ふ...優男な見た目のわりに力強いのね...。
そのままズルズルと席まで連れていかれて、教室は出られず休み時間の度に周りはシカト(金髪君とだけは普通に話す)して、なのにあたしには話しかける。
...という日々がかれこれ1週間も続いているのである。