ドンドンドドドン四天宝寺!!

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四天宝寺テニス部マネージャー(仮)として活動し始めて早数日。


『ついに来たか...。』


朝練を終え、靴を履き替えようと自分の靴箱を開けると〈それ〉は入っていた。

あたしはそれを白石や忍足に気づかれないように、手のひらでグシャッと握り潰してカーディガンのポッケへと突っ込む。
ついでに飴を取り出し、包装を剥いで舐める。


「名前?はよ教室行こや!」

『んー、今日1限サボる。からよろしく。』

「は?おい!どこ行くん!?」


聞いてくる忍足を置いてあたしはそのまま外へと出る。




今日は裏山でも行こかな。










――――――――――――――――――――









『くぁ......。くっそねみぃ......。』



ゴロン、と草の上に寝っ転がる。


マネージャー(仮)としてテニス部に顔を出すようになってからは毎朝毎朝早起きの日々だ。

うちのテニス部は毎週の午後練で2回、顧問によるお笑い講座とかいう訳のわからん日がある。
その日は自由参加になるためあたしはさっさと帰るのだが、何故か朝練だけは毎日あるのだ。
おかげで毎日寝不足もいいところだ。


しかも教室に入れば、サボるどころか授業中に寝ることすら白石が邪魔してくる。

「ウチのマネージャーになったわけやし、そこらへんはきっちりしてもらわな。」

とのこと。




最高にめんどい。




さっきは女子に囲まれてたからここまで来れたけど、そうじゃなかったら教室まで首根っこ掴まれて連れていかれること間違いなし。
日頃はうるさいが、今朝だけぐっじょぶだったな。





それに今日は某海賊漫画を1巻から読んでいたら夜が明けてしまっていたから一睡もしていないんだ。
いい加減眠気も限界である。
今朝の仕事はきっちりやったことを褒めて欲しいくらいだ。





『あ、そういえば...。』


ゴソゴソとポッケを探って、ぐしゃぐしゃになった紙切れを取り出す。
それには、

《今日の放課後、屋上まで来い。》

と、殴り書きされているだけだが、まぁいわゆる呼び出しというやつだろう。

呼び出しといっても、告白とかそういう類のものではなく。



どこの学校のやつもやるこた一緒だな。



むしろこの手の呼び出しに慣れきっている自分が怖いわ。
どんだけ呼び出されたことあるんだよ。
自分のことだけど。



まぁここ最近、というかマネージャー(仮)としてテニス部に関わり出してから私物(教科書なんかだったからそもそも使ってない)がなくなったり、授業用のノート(同じく使ってない)なんかが破られたり落書きされたり、廊下なんかを歩いてればわざとらしくぶつかられたり(相手のがよろけたけど)などなどいろいろあったから、そろそろ呼び出し来んじゃねと思ってたら案の定来たよな。


白石や忍足なんかは同じクラス、しかも席が近いから気付いたみたいだけど、そのことを聞かれる度にあたしは適当にはぐらかしてきた。

そもそもマネージャー(仮)として活動し始めたときから、なくなったら困るものは常にリュックに入れて歩き回ってたから被害はそんなにないし。

それにどういう状況でマネージャー(仮)になったにせよ、引き受けたからにはこれはあたしの問題だ。
あいつらに関わってほしくないし、余計話が拗れる。







だがそろそろ面倒に感じてきたころだったので、正直この呼び出しはありがたい。


が、こんなに眠くてはやれることすらやれないので、とりあえず今はこの怠惰な眠気に身を委ねようではないかと、あたしはポイッとその紙切れを捨てて目を閉じたのであった。
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