キリ番リクエスト
□300番菊と王でほのぼの
1ページ/4ページ
その日、我が家でシナティちゃんの製作に取り組んでいると玄関のベルが鳴った。
「もう、誰あるか?」
至福の時を邪魔されて、少々苛つきながらも玄関に向かう。
連絡もなく訪ねてくる相手なんて、限られる。
間違いなく我にとって迷惑な奴等だ。開けたくないと思いながらも、仕方なく戸を開けるとそこにいたのは予想外の人物だった。
「菊?どうしたあるか?連絡もなしに?」
そこに反抗期が長い我の弟がいた。
声をかけても、顔をあげず下を向いている。いつもと雰囲気が違う気がする。
だが、この展開は前にもあった。
(確かあれは・・)
「・・王さん!」
考えを遮るように菊が力一杯抱きついてきた。
その顔は予想通り泣いていた。
「・・・どうしたあるか?」
(うわ〜久しぶりある。嬉しいある。)
久しぶりの甘えるような仕草に、嬉しくなる心を抑える。
「とりあえず中に入るよろし。」
泣き続ける菊をゆっくり離し、支えるように、頭を撫で家の中に導く。