菊と海の向こうの方々

□菊とアーサー
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【ハート紅茶とドール】

菊宅

「お、お邪魔します。」
「はい、いらっしゃいませ。狭くて汚い家ですが、ゆっくりして行ってください。」
「べ、別に汚くても俺は気にしない。」

(っていうかどこが汚いんだ?綺麗に片付いてるじゃないか。)

「いま、お茶をお持ちしますね。」

座ってお待ちくださいと言い残し、台所に向かう。

「あ、ああ。」

(なんか久しぶりの菊の家は緊張するな。
こたつも久しぶり・・・あれ?このこたつ座れるようになってる?ま、まさか俺の為に?)

堀ごたつの中を覗きこみ、顔を赤らめる。

「すみません。聞き忘れてました。緑茶と紅茶どちらがいいですか?」
「べ、別に嬉しくなんかないんだからな!!」
「?なにがですか?」
「・・・な、なんでもない。紅茶ならお土産にもってきたからこれを使え。」

(つい、言ってしまった。)

とりつくろうように慌てて言い、お土産で持ってきた小さなバスケットに入ったハート型の紅茶セットを渡す。

「これは?」
「べ、別に深いはないんだからな!ただ珍しいから・・・。」

(菊は可愛いの好きだから、喜ぶかなと思ったなんて言えるわけないだろ!)

「・・・はい、わざわざありがとうございます。ではいれてきますね。」

嬉しそうににっこり微笑みを浮かべ、お土産の紅茶を持ち台所に向かう。

(はあ、なんでこうなんだ?)

溜め息をつき、こたつの机にうつぶせになる。

(うん?これなんだ?)

自分の足に何かがあたり、アーサーは堀ごたつの中を覗き込んだ。
足の先に当たったものを手をいれ、取り出す。
それは小さな2つの人形だった。
かわいらしい人形、1つは金髪の青い瞳の男の子の人形ともう1つは黒髪の黒い瞳の男の子の人形だった。
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