季節夢

□Good brother2015
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御近所のおそ松君にお誘いを受け、彼の家へとやってきた。しかし、当の彼はと言うと、話し掛けても上の空でずっとそわそわしている。あまりにも長く自分の世界に入っているものだから、少し大きな声で呼び掛けると、彼ははっとした様子で謝ってきた。

「ごめん**ちゃん。忙しくなかった?」
「うん、今日は暇だったから」
「そっか…え、あ、えっと、じゃあゲームでもする?」

私を家に呼んだのも、特に此れと言った用事があった訳では無さそうだ。何か悩み事でもあるのだろうか。それとも、辛い事があって気を紛らわせたいのだろうか。頭の中でぐるぐると考えを巡らせるけれど、何れだけ考えても答えに辿り着かない。取り敢えず今は、彼の言うゲームをして様子を見ようと思った。

「しりとりしよっか」
「おう、」
「じゃあ、しりとりの"り"からね。りんご」
「ごぼう」
「うみ」
「みかん…あ、ごめん」

続かなくてごめん、と小さくなる彼に普段の自信満々な姿が見えず不安になる。本当に大丈夫なのかと心配になり、声を掛けても彼は大丈夫だと言う。絶対に何かある筈なのに、彼の気持ちを汲み取れない私自身に胸がもやもやする。そんな私の様子を見て、彼は閉ざしていた口を開いた。

「あ、そうだ。**ちゃんお腹すかない?」
「うーん、今は大丈夫かな。おそ松くんは?」
「えっと、俺は水で良いや」

水うまいし、と言って目の前にあるコップを空にする。そして、彼は意を決したように正座をして私の正面に座る。よし、恐らくここからが本題だ。どきどきする。何時もの緩く明るい雰囲気ではなく、真剣さが漂う雰囲気に、私も彼も同時に唾を呑む。

「あのさ、凄い唐突だし驚くかと思うんだけど、」
「急にどうしたの」
「その、おかしいって思ったらごめん。でも聞いてほしくて」
「うん、聞くよ」
「俺、実は**ちゃんのことが、」

ごめん忘れて、と言って彼は下を向く。しかし、直ぐに顔を上げて、やっぱり待ってと私の肩を強く掴んだ。

「…っす、す、すす」
「…」
「す、すす、す、す」
「おそ松くん…」
「す、す、す、すす」

此処まで来れば、彼が何を言いたいのかは流石に分かる。真っ赤なパーカーと同じ位に頬を染め、ぷるぷると震えている姿を見ていると、想いを伝えられる相手は自分だが応援したくなる。後少し、後少しだけ頑張って。

「す、すす、す、


好きっ、大好き」


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参考 「すすすす、すき、だあいすき」(ジェバンニp/鏡音リン)



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