□ちゅー!
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ちゅううううううううううう


く、苦しい。何これ、何なのこれ。
朝起きて目覚めたら、目の前には黄色い服を着たあいつがいた。はぁはぁと息を整えながら睨んでやると、奴はおはよー!と、元気そうに笑う。

「朝から窒息しそうだったじゃない!」
「えー?あはは!」
「あははじゃないよ…」

枕元の横に置いてある時計を見ると、会社へ行く準備には、十分に時間があるようだ。ここ最近では、中々起きれずに遅刻気味だったこともあり、あんな起こされ方だったが、少し有難いと思った。

「**どこいくのー?」
「会社だけど」
「えーなんで!おれとあそぼーよ!」
「全うな社会人がそんなことできるか」

いつものようにわーわー言いながら、私のベッドに転がってシーツをくしゃくしゃにする。こんにゃろ。絶対に直さないくせに。

「**も体調わるいから、会社やめよー!おれとあそぼ!かわ!かわおよご!」
「いや、川は十四松だけで泳い………え?」
「おれとあそぼ!かわ!かわおよご!」
「そこじゃないわ!」

頭にはてなマークを浮かべて笑う。十四松の笑顔は、裏が読めないというか、何を考えてるんだか分からないときがある。自分でも自分を誤魔化していたのに、何故彼には分かってしまうのだろうか。

「なんで、私が体調悪いこと知ってるの?」
「あはははは!わーい!」
「人の話聞いてる?」

もういいや、十四松の怪奇行動は何時ものことだ。折角きちんと朝起きれたのだから、会社に行く準備をしよう。そう思って、ため息をつくと、先程まで私の枕を持ち上げて遊んでいた(何が楽しいのだろうか…)十四松が、くるっと私の方を向いた。

「あのね!あのね!**とちゅーすると**のこと全部わかるんだよ!」

そう言って、私に飛び付くようにキスをする。いまの**は心臓がどきどきしてる!なんて言うもんだから、会社の準備なんてしていられなくなっちゃった。
残念。今日も****さんは遅刻になりそうです。



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