□からかい
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*リク。五男視点。五男があんまり純粋じゃない。


「お前が**ちゃんと付き合うことになるなんて思いもしなかったザンス」

久しぶりに会ったイヤミに、そんなことを言われた。元と言えば、俺と**はあまり仲が良い訳ではなかった。俺は**と遊びたいし、話してみたかったからよく家に押し掛けた。しかし、その殆どが嫌な顔をされて追い返されるものであった。俺何かしたっけ、と思いつつも、断られれば燃える性格な上、しつこく**に付きまとった。そしてある日、そのしつこさが漸く実を結んで、遊んでもらえることとなった。凄く嬉しくて跳び跳ねていたら、**は控え目にクスッと笑った。**が俺に対して笑うなんてはじめてだったから、また嬉しくなったのを覚えている。
其れから俺達が仲良くなったのは早く、俺が何時ものように遊びに行ったら**に好きだと言われた。うん、俺も好き。正直、恋とかよく分からなかったけれど、**と居ると楽しいし、会えないときは寂しくて**のことばかり考えてしまう。チョロ松兄さんに相談したら恋だと言われたし、きっとこれが恋というものなのだろう。

「うっひょひょー!**ちゃんとはするとこまでしちゃったザンス?今も熱々に手を繋いでるザンスねぇ」
「あはは、まぁデートですから」

コイビトになった時は兄さん達にも沢山からかわれたけど、**は一貫とした態度を崩さなかった。自分でも気が付いていないと思うが、**は困ると髪をかきあげる仕草をする。だから俺は、兄さん達にからかわれていた時の**が、心の中で困っていたことを知ってる。そして今も。

「気になるザンス。こっそりとミーに教えてちょ」
「えっと…」
「ああでも流石に**ちゃんの口からは言えないザンスね。よし、十四松お前が、」
「やめてよ」

俺の発した低い声に、イヤミと**ちゃんは唖然としながら驚いている。あれ、何時ものように声を発したつもりなのに、俺ってこんな声出せるんだ。

「俺、**を困らせるやつキライ」
「か、からかっただけザンスよ」

焦って沢山の言い訳をするが返事をしない俺に、その場の空気に耐えられなくなったのか、イヤミはまた今度と言って去っていった。イヤミが本気ではないという事は分かっており、悪い事をしたと思うが、**を見ていたら勝手に口が開いていたのだ。そして、二人きりになったところで漸く固まっていた**が口を開く。

「じゅ、十四松」
「え!!なに!!」
「さっきの、」
「どうしたの!!」
「…ううん、何でもない」

きっと、俺の行動について何か言いたいんだと思うけれど、何時も通りの俺の姿を見て**は口を紡ぐ。**は何も知らなくても良いし、俺はただ**の笑った顔が見ていたい。また髪をかきあげる仕草をする**に野球をしたいと誘えば、少し安心したような表情で返事をするから、何時もようにぎゅうと手を握って走り出した。


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「どうしたんだよイヤミ」「あの五男怖いザンス…」「ああ、あいつ**ちゃんの事になると目の色変わるからな」



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