短編集
□僕は絶対に認めない!
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僕は昔から、眠っている間によく夢を見る。それも唯の夢ではないく、俗に言う''予知夢''という奴だ。
僕が、僕の見る夢が予知夢だと確信したのは大体一年くらい前。
それまでも予知夢のようなものを度々見ていたんだけれど、あんまりにも夢で見た光景と、数日後にその夢と同じ光景が目の前に出来上がっているーーなんてことがあるものだから、これは予知夢なのだと確信するまでに至った。
僕の予知夢は、殆どが僕の身の周りで起こる出来事を映す。そして、近い未来に起きる出来事ほど、その未来を鮮明に予知夢に映し出し、遠い未来に起きる出来事ほど、ぼんやりと霧がかかったかのように映し出す。
この予知夢を僕は重宝している。過去に、この予知夢に命を救われたこともあるけど…その話は今は置いておいて。
ーー一週間前、僕はある夢を見た。
それは、墓場のような場所で眼鏡をかけた若い青年とハゲで鼻が潰れたような顔をした青白い肌の男の人が、細い木の棒?のようなものを向け合って、その木の棒から青年の方は赤色の光線を、男の人は緑色の光線を打ち合っているという夢だった。
……いや、こんな夢をみた自分自身でも変な夢を見たなぁって思ったよ。だって、現実味全くないし。きっと予知夢じゃなくて、普通の夢だったんだろうなぁって最初は思った。
だけど、昨日僕はまた夢を見た。
どうやら前に見たあの変な夢の続きらしいのだけれど、いつも見るようなスクリーンに映画が映し出されるようなものではなく、その夢は何度も場面を変えていった。
まず、眼鏡をかけた青年と白髪と髭が床につくほど長いお爺ちゃんが何かを話している場面が現れ、パッと画面が暗くなった。
次に、淀んだ雲空に髑髏と蛇の不気味なマークが打ち上がっている場面が現れ、直ぐにパッと画面が暗くなる。
それからも次々に色んな場面を映して行き、そして最後にはーー古い大きなお城のような場所で沢山の人たちが片手に木の棒を持ち、どういう原理かは知らないけれど、それを振るいながら戦っている場面が現れ、パッと消えた。
…夢の中で見たそれらがいつもの僕の予知夢なのなら、それら全てが全体的に薄ぼんやりとしていたから、少なくともまだ近い未来ではないことは分かる。
だけど、こんな無茶苦茶な夢が予知夢な筈がない。偶然に決まってる。
きっと、最近母さんと一緒にハマっているファンタジーものの映画のせいだ。
…そう思っていたのに。
その日に我が家に訪れた一人の''魔法使い''の訪問で、僕の考えは簡単に砕かれることとなった。