『中編1』
□身代わりの果てに
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来林メイ(クルヤバシ)――それが、手塚部長の幼なじみで不二先輩の彼女で、今日青学に転校してきた少女の名前だった。
‐第1章‐
「初めまして、今日から男子テニス部のマネージャーを務めさせていただきます、来林メイです。
3年なので短い間になりますが、よろしくお願いします」
部長に紹介された少女は噂の転校生だった。
本来、テニス部に女子生徒のマネージャーは入部させないと聞いていたが、彼女は別らしい。
桃先輩から聞いたが、部長の幼なじみなんだって。
「メイちゃんかぁ〜、かわいいにゃ〜!」
「ダメだよ、英二。メイは僕のだからね?」
「不二先輩の彼女かぁ〜、勝ち目ねぇーなぁ〜、ねぇーよ〜」
「何かわからないことがあったら、いつでも聞いてくれ」
「大石?副部長だからって調子に乗ったらダメだよ?」
「彼女が不二と別れる確率……ひゃ…「0%だよ、乾」……そうか……」
菊丸、桃城、大石、乾、そして不二。
どうやら彼女に一目惚れしたらしい。
全員の顔が全体的に緩んでいる。
部長は幼なじみ相手だからか、いつもより2本も眉間のしわが少ない。
1、2、3年の平部員も彼女に一目惚れしたようだが、不二先輩の彼女だと知って、早々に諦めたらしい。
各自、すでに練習に戻っている。
そういうリョーマも全く興味なくて練習に戻った。
近くには海堂先輩と河村先輩がいる。
「2人はマネージャーのところ、行かなくていいんスか?」
「ふしゅー、興味ない」
「うーん、可愛いけど、彼女にしたいとかは思ってないから」
「へぇ〜」
いつ再開されるかわからない練習。
リョーマたちは小さくため息をつくと、3人だけで練習するのだった。
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