バカと低血圧と召喚獣

□練習問題
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幸久side





(これが難しいと噂の振り分け試験か……。確かに難しいけど記述は少ないし問題ないな……この程度なら、20秒に1問は解ける!)

ぼくは、カリカリと問題を解き進める。

ふと、双子の弟の事を思った。

(選択問題は多いけど、朝の小手調べからして、明久は大丈夫か?)











「クラス振り分け試験」当日の朝の事―

ぼくは明久と、明久経由で仲良くなった坂本雄二と3人で暗記の確認をしていた。

「よーし明久、テスト前の小手調べだ。明久が間違った答えを言ったら、幸久が正しい答えを言ってくれ」

雄二の言葉にぼくは頷いた。

雄二は単語帳を開き、問いを出す。

「「三権分立」は「司法」と「立法」ともう1つは何で成り立つか?」

中学でも習ってる現代社会の内容だ。

果たして、明久は出来るのか……?

「ふ……あまり僕を見くびらないでくれよ、雄二………… 2つまでは絞れる」

明久、2つって何だよ!?

「ほう」

雄二も疑問を抱きながらも、明久の答えを

待つ。明久は、格好つけて言う。

「「憲法」か「漢方」のどっちかだったはず……」

ぼくと雄二は何も言えない。「憲法」は許容範囲のミスだけど、「漢方」って……。

「……幸久、答え」

雄二の言葉に反応して、答える。

「行政だろ?」

「そうだ」

「…………」

間違った答えを言った明久は、黙りこんだ。

「あ、それじゃウチからも〜!」

何処からか健康そうな女子の声がする。

振り返って見ると、雄二と同じく明久経由で仲良くなった島田美波がいた。

「では基礎問題!「CHзCOOH」とは何でしょう?」

今度は化学か…。答えは酢酸だな。

明久は……

「…………」

必死に答えを探してる。

そして、島田から顔を逸らした。

「吉井?」

島田が心配そうに首を傾げる。

そして、明久はポツリと呟くように言った。

「…………英語は苦手なんだ」

明久の言葉の意味を理解するのに0.1秒。

「え……?これ英語じゃなくて化学」

島田が正確な意味まで分からずに突っ込む。

吉井が駆け出した。

「じゃあ、僕こっちだから!」

敵前逃亡、と言うことだ。

島田もようやくそれに気付いて、声をかける。

「ちょ、ちょっと吉井!アンタ相当ヤバイんじゃ!?」

ヤバイだろうな。

おそらく明久は2年生のクラス先が分かった気がする。

坂本が何もなかったように、ぼくに問う。

「で、さっきの島田の問題は?」

ぼくも何事もなかったように言う。

「ああ、答えは酢酸だ」

「当たりだな。お前はまたいつものように、上位10番以内に入るんだろうな」

雄二がそう呟くので、俺は言い返す。

「雄二こそ、やればその中に入れるんだけどな」

そう言って、お互い笑い合う。

試験の教室が違うので、俺と雄二は分岐点で、別れた。
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