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□rainbow of happy color 〜2nd season〜
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案内された個室の前に立ち「ありがとうございました」と店の方に挨拶をした。
もう、あの頃のようにそこら辺の店には簡単に飲みに行けないんだな…
そう思うと少し淋しい気がした。
翔くんと初めて外食をしたあの店、まだあるかなぁ。
深呼吸を1つ。
緊張で強張った顔を笑顔に変えて、ドアに手をかけた。


「ひさしぶり!」


ドアを開けて声をかけると、4人が笑顔で一斉に私を見た。
あの頃より少し大人になった4人。


「愛ちゃん!ひさしぶり!!」


「愛ちゃ〜ん!元気にしてた?」


「ひさしぶり。髪の毛、切ったんだ」


「愛。来てくれてありがとうね」


「こちらこそ、誘ってくれてありがとう。逢えてうれしい」


「いつぶりだっけ?」


「宮城でのコンサートぶりかな?なんだかバタバタしちゃって」


「あんなに毎日一緒にいたのに変な感じだね」


「あんなに毎日一緒に飲んでたのにな」


「本当にね〜!」


「今日…ニノは来れなかった。やっぱり無理って」


「うん…仕方ないよ。大丈夫」


「みんなで楽しんでって言ってたよ!」


雅紀くんが重くなった空気を察して、大きな明るい声で言った。
こういうところ、相変わらずだなぁ…
ここに和也がいても、それはそれで複雑と言うか。
だから、来れなくてよかったのだと思う。


「今でも、しょっちゅう話すんだよ。あの頃、楽しかったよね〜!って」


「相葉くんなんて思い出話で泣くからね」


「あの頃は未来を想像して泣いてたのにね」


私達の笑顔が少し淋しさで乱れた。
空気を変えるように4人に聞いた。


「みんな、ちゃんと一人暮らし出来てる?」


「俺は問題ないよ。意外と相葉くんも。2人は…」


「今は電化製品も進化を遂げてくれてさ」


「そう、ボタン1つでなんでもやってくれるよ」


「CMもやってるしね」


こうして、和也がいない5人で何かから目を逸らすように話をすることも懐かしい。
いつも通り変わらずにいてくれる智くんと。
時折、心配そうに私を見る翔くんと。
笑顔で場を盛り上げてれる雅紀くんと。
真っ直ぐな目で優しく私を見据える潤くんと。
何もかもが懐かしかった。
懐かしいということは、変わらずにいてくれてるのだと安心した。


「ハワイ、楽しかったよね!6人で夜中の海に行ったりさ」


「後から事務所にバレて超怒られたけどな」


「なんだっけ、翔くんが言ってたなんとかレインボーも見れたしね」


「moon rainbowな」


「あの時にした願い事は、叶ったのかなぁ…」


雅紀くんの言葉に私達は何も返せなかった。
あの時、ハワイで願ったこと。


それは今でもきっと、私達の願い。
あの頃から変わらない私達の願い。


毎日、悩んだり笑ったり泣いたり…
眠れない夜、誰かが庭に出れば必ず誰かしらは隣にいてくれる。
そんな家だった。
いつも、一緒だった。
それが毎日なのに私達は、それを当たり前には思えずに。
いつか、こんな日々も終わりが来る…
そんな不安と恐怖を、いつだって抱いていた気がする。


それでも幸せで満たされていた、あの頃…


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