鬼と妖怪
□湯けむり〜迷子の子猫ちゃん〜2
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「この井戸が異国に通じてる井戸なの?」
「うん。そうよ。」
私の目の前にある井戸は一見、どこにでもありそうな何の変哲もない古い井戸だった。
でも、これが異国に繋がっているみたい。
まだ異国のことは、文献で読んだり聞いたりしただけだけど、でも確かに、海の向こうには私の知らない世界が広がっている。
私はずっと前から、異国にとても憧れていた。
小さい頃から、知らない事や体験したことのない事を見つけては、あれをやりたいこれをやりたいと言って、よくお父様を困らせていたっけ...。
「ねぇ、かごめちゃん...ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから異国に私も連れてってもらうことってできる...?」
「えっ!?」
「私、異国の文献やお話を聞くたびに行ってみたいなってずっと思っていて...。」
「でも、私のいたところは、異国っていうより未来の世界だから、まいちゃんの行きたがってる異国とはまた違うよ?」
「それでも私、一目見るだけでいいから見てみたい!...だめかな...?」
無茶なお願いだって分かってはいても、昔から好奇心が湧くとなかなか抑えらなくて...
これだから邪見さまにも、
『たまにまいは無茶苦茶をやってのけようとするからハラハラするわい..。』
って言われるのかな。
「っ...そんな可愛い顔でおねだりされると何でも言うこと聞きたくなっちゃう!わかったわ!でもほんとにちょっとだけよ?」
「本当!?やった!!♬」
「かごめちゃん、本気?!」
「ありがとうかごめちゃん!」
「四魂のかけらを持っていると向こうの世界に行けるみたいなんだけど、もしかしたら誰でも行けるってわけではないかもしれないから..その時はごめんね?」
こうして、四魂のかけらを持っているかごめちゃんと二人で井戸に入ることにした私。
古井戸だから、ちょっと不気味な感じもするけど、それよりも好奇心の方が勝っていた。きっとこんな体験二度と出来ないかもしれないから、とっても楽しみ!
「まいちゃんって、見た目に反して結構お転婆なんだね。」
「えへへ。よく言われる」
珊瑚ちゃんにもお転婆って言われちゃった!
走り回ったりとかはしないけど、興味のあることはとことん知りたいって性格からか、村の人にもお転婆娘ってよく言われてた。
「じゃあ、珊瑚ちゃん、ちょっと行ってきます」
「気をつけて行っておいでね。」