鬼と妖怪
□湯けむり〜迷子の子猫ちゃん〜4
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「日暮かごめさんはどこに住んでる子なのかな?」
「えっと...。」
恩師土方さんと別れ、やってきた警察署なるところには、これまた見慣れない服装の男の人達がいて、私が話したかごめちゃんの特徴を紙に書き留めていく。
でも...かごめちゃんがこっちの世界にいるのはたぶんそうだけど、詳しい場所までは分からない。
「君は、どこに住んでるの?東京都の子なのかな?」
「と、とうきょう...?」
「自分の住んでる場所も分からないの?参ったな...。」
どうしよう...。かごめちゃんのこと、まだ知り合ったばかりであんまり知らない...。どうしたらかごめちゃんと再会できるのかな...。
「とりあえず、君が言ってる日暮かごめさんの似顔絵を専門家に書かせるから、それを見て、もう少し情報をもらえるかな?かごめさんは学生なんでしょ?制服の形とか分かる?」
「は、はい!緑の洋服に赤い布を首に巻いていて...」
「セーラー服?ブレザー?」
「せ、...?」
「あのねぇ?君、ふざけてるの?セーラー服とブレザー、知らないわけないよね?!」
「あ、あの...わた、わたし...。」
少し強い口調で責められ、知らない世界にひとりぼっちの心細さもあいまって、泣きそうになってしまう。
私、情けないな...。
自分で勝手をしてこんなことになって...。
殺生丸さまには裸を見られて助平だなんて言ってしまうし、弟君の犬夜叉さんには悲鳴をあげてしまって...
一向に帰ってこない私を、殺生丸さまは見捨てて行ってしまうかもしれない。
そんなの嫌...お父様が居ない今、殺生丸さまのいるところが、私の帰る場所なのに...。
「っ....。」
耐えきれず、溢れ出た涙が頬を伝った。
「あーあ。警官が女の子泣かせちゃっていいの?」
その聞き覚えのある声に、警官署の入り口に目を向けると...あの時助けてくれた、彼がそこに居た。
「...沖田さん!」
「なんだね、君?」
「あのさ。僕、この子の知り合いなんだけど、ひとまず似顔絵が出来たら、この子を預かってもいいかな?」
「えっ!?」
「本当に知り合いなのかね?」
「うん。知り合いっていうか、僕ら恋人だし。」
!?!???
こ、恋人って!!!?
沖田さんは一体何を言ってるの!?
いきなりわけが分からず、困惑気味の私の方に、歩いてきたかと思ったら、いきなり彼に抱きしめられた。
「きゃっ...沖田さん!!」
「沖田さん。じゃないでしょ?二人きりの時は総司って名前で呼んでくれるのにさ?」
ふ、二人きりの時!?!??
二人きりはおろか、こんな、異性の方に抱きすくめられたことも初めてなのですが!!!
「大丈夫。僕に合わせて。」
困惑と羞恥心とで真っ赤になった私に、彼はそっと小さな声で耳打ちした。
その声に何故だか腰が砕けてしまい、必然的に彼にもたれ、身体を預けるような形になってしまった。
「...はぁ。全く。いちゃつくなら外でやりなさい。もう出てった出てった!」