短編
□向こう見ずの戯曲
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※R15くらい。閲覧は自己責任でお願いします。
「氷室先輩。綺麗ですね」
「女の子に押し倒されるなんて初めてだよ」
「こうやって見下ろすのがいちばん綺麗です」
なまえは俺の首元に顔を近づけ、舌を這わせた。身震いした。自分はこの女にいつもこういう刺激を与えているのかと。腰から太ももにかけて流れるやわらかい電流のような感覚。自身が硬くなっていくのを自覚する。
「その顔、素敵です。えっちで。わたし以外の人間に見せちゃだめ」
そう言うなまえの顔もずいぶんと扇情的だった。この体勢を崩して押し倒し返してやりたい。そして乱暴に犯してやりたい。そしてそのまま壊してやりたい。なまえのこんな姿を見れる最後の人間は自分がいい。
「俺と付き合う気はない?」
「残念ですけど、ありません」
君がレズだから?と言うと、思い切り耳を噛まれた。そしてキスをしてきた。洗練された舌の使い方だった。
「わたしは男の人を好きになれない」
「どうして?」
「...わかりません」
なまえは俺の首にひとつのキスマークを残した。無責任に印なんて付けないでほしい。この印を見る度に自惚れてしまうから。
「見えるとこにつけちゃった」
「ふふ、別にいいよ」
「ヤリチンみたい」
先輩の人気下がっちゃうかもね、と、そこに指を這わせながらつぶやいた。そのひんやりとした指すらも俺を誘ってるようにしか思えない。
「もう駄目だ、なまえ」
「なにが駄目なんですか」
「俺が駄目だ」
「軟弱ですね」
「そうだよ」
勢いよく起き上がって、なまえを床に打ちつけた。背中や後頭部の衝撃に対して漏らした「あっ」という声は喘ぎ声にしか聞こえなかった。
「やめてください」
「どうして。さっき君がしたのと同じことをするだけだ。それに今まで何回もしただろ」
「ゴムでも駄目」
「誘ってきたのは君だ」
カーディガンとシャツのボタンを乱暴に外し、露になった胸を吸って印を残した。いっきに弱気になったなまえが可愛いくて、早くこの女をぶち犯したい衝動が強まった。
「いた、い...」
「抵抗しないんだね」
「し、てますよ!あ、あ...」
執拗に乱暴に、胸だけを攻め続けた。なまえは気持ちよさより痛みの方がつよいのだろう、顔を渋くしかめていた。
「やめて、氷室先輩」
うっすらと涙を浮かべながらそう懇願するなまえ。そういう抵抗は俺をさらに誘うだけなのに。
「綺麗だよ、なまえ」
スラックスのベルトを外し、先走りで濡れている主張しきったこれを取り出した。なまえの目から1粒の涙が零れた。