小説置き場

□殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい愛したい殺したい殺したい殺したい愛し
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ディオは何時だってジョナサンが嫌いだった。また、憎んでもいた。



二人はまだ出会って(そう、あの最悪な出会いから!)一週間とたっていない。つまり、二人はまだ初対面にも近い赤の他人同士だ。それに、幾ら金持ちで甘やかされたとて、ジョナサンは素直で誠実な人間だ。同年代の子とは比べ物にもならない。父を尊敬し、紳士を目指している。貧民街といういでだちのディオを差別などする訳がない。ディオがやって来ても快く受け入れた。(それがイヤなのかも知れないが)またディオは恐ろしく美しい少年だったし、賢者の如く知能が長けていた。どう自分が振る舞えば良いのかということをキッチリ理解していた。それはつまり、敵を作らないということだ。ディオはとても賢い少年だ。その筈だ。その筈なのに、

ジョナサンにだけは本性を表す。







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友人のボブだか、ビーンだか何だか知らんが、ジョナサンが外へと飛び出していった。ボブだか、ビーンだかと遊ぶらしい。ディオもどうだいと一応ジョナサン、いや、あだ名で呼ぼう。ジョジョは誘ってはくれたものの、そんなの欠片ほど面白そうとは思わないし、ジョジョは先日の一件から俺を苦手扱いしているらしく、今もオドオド渋々といった感じで話しかけてきた。ジョースター興にディオも誘いなさいとか言われたんだろうな。そして律儀にもこの間抜けは腹立たしくて心底どうでも良いことを僕に言うんだな。
だが、まぁ「いや、僕は遠慮しておくよ」僕がそういい手を振る素振りを見せ、光輝く所謂王子様スマイル()を繰り出したら、この間抜け、いや、ジョジョはポカンと豆鉄砲でも食らったかのような顔になった。驚きすぎだろ
 その顔にええ!以外ッ!僕はてっきり嫌みッたらしい笑みを浮かべながら「勿論行くに決まっているだろうジョ〜↑ジョ〜↓」とか言いながらついてきて、僕だけを仲間外れにする気だと……と物語っている。…なんだそりゃ。ジョ〜↑ジョ〜↓なんて馬鹿みたいなイントネーションを僕が言うわけないだろう。
しかし、僕がそういいながら、ジョナサンから踵を返すと彼はいてもたってもいられなくなったなったらしく大急ぎで階段をかけ降りた。

「じゃあ、ディオ、行ってくるねー!」ジョナサンはそういい笑顔で僕に手を振った。




ボブもビーンもジョジョも嫌いだ。全員死ね。ディオはそう思いながら目的の場所へ向かう。
カツカツ靴底で廊下に音を響き渡らせながらディオは歩く。
その目は何処までも冷めていて、また、

何よりも赤かった。



−−重苦しい扉。ディオの身長をはるかに凌駕する。それに手を置き、少しずつ力を籠め、押す。ギイィと重々しい音をたてながら扉が開く。下に敷いてあるカーペットが少し、ずれる。
ある程度まで押すと扉は動かなくなった。固定されたのだろう。それを確認したあとディオは慎重に扉の中へと歩みを進めた。

おびただしい書籍が所狭しとそびえ立つ本棚の中に収まっている。ディオが目一杯見上げても、全てを見ることが出来ないぐらいだ。
この部屋には、本以外何もない。机も椅子も、窓でさえ。梯子もない。ただただ本しかない。

そこにディオは一人たたずむ。自分は今災害が起きたら真っ先に死ぬであろう。そう考えながら。




シン−−と静寂。
ディオは本とその本にまとわりつく埃しかないその部屋で、暗くて、何もなくて、静かな薄暗いここで、

漸く息が付けるのだった。





暫くたったあと、ディオは本来の意味でのここに来た理由を思いだし、前に歩みを進めた。そしてある本棚の前で止まる。手を伸ばし、本の背表紙に触れる。白魚の様なディオの手が、ワインレッド色の本と対比している。その手が、指が、ツツツ、と背表紙に触れながら動く。そして一つの本が視界に入り、指でなぞり、手に取った。
古びた、埃まみれのその本。フッと息を軽く吹き掛け埃を飛ばしたディオはその本を見つめニンマリと笑った。












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